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43. ページ44




ガタンと揺れ、目が覚めた。

もう目元に布は巻かれていなくて、少しずつ朝日が昇る空が窓越しに目に入った。…さっきのは車の揺れで、行きと同じように助手席に座っているのだと。
膝にはブランケットがかけられていて、身に覚えのないハンカチを手に握っていた。


「_____まだ少しかかりますから、寝ていて構いませんよ」


運転席にはもちろん飛田さんがいて、どうやら車内には2人だけのようだった。


「…ありがとうございます。…あの、このハンカチ…」

「……涙で頬がだいぶ濡れていましたので。…余計なことかと思いましたが」


…そっか。私の頬をハンカチで拭いてくれ、手に持たせてくれたんだ。


「優しいですね。…ブランケットまで、ありがとうございます」

「優しくなどありませんよ。…我々は、違法なことや決して人に褒められないようなこと…沢山していますから」


失笑しながら言う飛田さんも、また辛そうな顔に見えた。


「そんなことないです。誰かがそうして身を挺してくれるから、守られてる命や国がある…」

「……」

「…でも私は、その存在が安室さん…降谷さんや、飛田さんでなければ良いのにと、そう思っちゃいますけど…」


立ち並ぶビルを見ながらそう言うと、「違います」と返された。


「…飛田じゃありません。風見です…風見祐也。

降谷さんには…戻って来て会った時に、直接名前を聞くと良いと思います」

「……」


…よく似ている。
優しさが捨てきれないところ、結局非情になれないところ。


「…風見さんも知っているんでしょ、私が過去に組織にいたって…そんな女に、本当の名前を教えちゃっても…」

「何か訳があったんでしょう。…組織にいたのも。
直接聞いたわけではありませんが、降谷さんも…そう思っていると思います」

「……」


"戻ったら今までのことも全部話すよ"


そんなの、私も一緒だよ。…今度こそ、ちゃんと話をしよう。


「…風見さん。爆弾をどうやって解除するんですか?」

「…何故そんなことを…。

……何とか、降谷さんに付けられた爆弾と同じ物と見られる液体を入手したので…それを分析し、解除するつもりです。

…て、ふ、降谷さんには絶対に言わないでくださいよ?」


ということは、どんな爆弾かも明確には分かっていない、調査段階…。それなら…。


「…私、少しは役に立てます。

もう一度、風見さんと一緒に、降谷さんの元へ連れて行ってください」




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柚葉(プロフ) - かえでさん» かえで様。コメントありがとうございます!すみません、今2と3の体裁を整えている関係で一時的にパスワード保護してます!まだ修正が済んでいませんが、読んでる途中に若干体裁が変わるのが気にならなければ、メッセージでパスワードをお送りします!いかがでしょうか? (8月25日 18時) (レス) id: 00a9d1680b (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - シリーズ2個目を読みたいンですけど無理でしょうか?パスワードがかかってるようで (8月25日 17時) (レス) id: bf6f1db929 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚葉 | 作成日時:2023年6月18日 14時

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