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「…手荒な真似をお許しください」

「いえ…分かってますから、大丈夫です」


目元に布を当てて巻かれ、車の助手席に座るよう促される。
車が発進し、どこかへ向かっていく。

どこにあるのか分かってはいけないということは、何か隠したい事がある、もしくは一般の人が危険な目にあわないようにするため…もし後者なら、その場所は、危険だということになる。

安室さんがそこにいるのなら、何か危険な目にあっているんじゃないか。


「…着きました」


…そう思うと、会いたいのに会うのが怖いという気持ちが襲ってきた。

 







飛田さんが体に手を添えてくれ、ゆっくりと誘導してくれる。


「ここ、段差があるので気をつけてください」

「はい、ありがとうございまっ、す…?!」


言われたそばからずるっと見事に段差らしきものを踏み外し、飛田さんに体を支えられた。

"すみません"と言うと、"気にしないでください"と返ってきた。
ほんの少し、微笑んでいるような気がした。


「…ここからはエレベーターに乗ります」

「……やっぱり、地下…なんですね」

「…ええ、危険ですので」

「……」


どっどっと心臓が波打ち、肌寒い季節なのに、体から汗が出てくる。

無機質な機械音が止まりドアが開いた音がすると、ゆっくりと目元の布を外された。ずっと視界が暗闇だったから、わずかな明かりでさえ眩しく感じる。

…奥に小さな透明張りの部屋があり、顔は見えないけど、そこに安室さんらしき人が座っていた。









恐る恐る近づいていくと、椅子から立ち上がった。
…ゆっくりとこちらに来て、ガラス越しに目が合う。


「…あむろさん…っ」


状況はすぐに分かった。…危険だと言う理由も。

涙が滲み足が震え、それ以上近づけなくなる。

私を見ると、目を見開き動揺した。
同時に私の後ろにいる飛田さんを鋭い目つきで捉え、責めたような表情(かお)をした。



下を向いて必死に止めよう止めようと思っても涙が溢れる中、電話の音が鳴り響いた。

顔を上げると、安室さんが受話器を耳に当てていて、近くの壁に付いている電話から音が出ていると分かった。…電波が遮断されている部屋に一人でいるのだと思うと、胸が痛くて仕方がなくて。


「___そんな顔をさせてしまうと分かっていたから、伝えるつもりはなかったんだ」


受話器を耳に当てると、安室さんの方から口を開いた。

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柚葉(プロフ) - かえでさん» かえで様。コメントありがとうございます!すみません、今2と3の体裁を整えている関係で一時的にパスワード保護してます!まだ修正が済んでいませんが、読んでる途中に若干体裁が変わるのが気にならなければ、メッセージでパスワードをお送りします!いかがでしょうか? (8月25日 18時) (レス) id: 00a9d1680b (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - シリーズ2個目を読みたいンですけど無理でしょうか?パスワードがかかってるようで (8月25日 17時) (レス) id: bf6f1db929 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚葉 | 作成日時:2023年6月18日 14時

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