今日:34 hit、昨日:21 hit、合計:119,526 hit
小|中|大
「…手荒な真似をお許しください」
「いえ…分かってますから、大丈夫です」
目元に布を当てて巻かれ、車の助手席に座るよう促される。
車が発進し、どこかへ向かっていく。
どこにあるのか分かってはいけないということは、何か隠したい事がある、もしくは一般の人が危険な目にあわないようにするため…もし後者なら、その場所は、危険だということになる。
安室さんがそこにいるのなら、何か危険な目にあっているんじゃないか。
「…着きました」
…そう思うと、会いたいのに会うのが怖いという気持ちが襲ってきた。
・
飛田さんが体に手を添えてくれ、ゆっくりと誘導してくれる。
「ここ、段差があるので気をつけてください」
「はい、ありがとうございまっ、す…?!」
言われたそばからずるっと見事に段差らしきものを踏み外し、飛田さんに体を支えられた。
"すみません"と言うと、"気にしないでください"と返ってきた。
ほんの少し、微笑んでいるような気がした。
「…ここからはエレベーターに乗ります」
「……やっぱり、地下…なんですね」
「…ええ、危険ですので」
「……」
どっどっと心臓が波打ち、肌寒い季節なのに、体から汗が出てくる。
無機質な機械音が止まりドアが開いた音がすると、ゆっくりと目元の布を外された。ずっと視界が暗闇だったから、わずかな明かりでさえ眩しく感じる。
…奥に小さな透明張りの部屋があり、顔は見えないけど、そこに安室さんらしき人が座っていた。
・
恐る恐る近づいていくと、椅子から立ち上がった。
…ゆっくりとこちらに来て、ガラス越しに目が合う。
「…あむろさん…っ」
状況はすぐに分かった。…危険だと言う理由も。
涙が滲み足が震え、それ以上近づけなくなる。
私を見ると、目を見開き動揺した。
同時に私の後ろにいる飛田さんを鋭い目つきで捉え、責めたような表情 をした。
下を向いて必死に止めよう止めようと思っても涙が溢れる中、電話の音が鳴り響いた。
顔を上げると、安室さんが受話器を耳に当てていて、近くの壁に付いている電話から音が出ていると分かった。…電波が遮断されている部屋に一人でいるのだと思うと、胸が痛くて仕方がなくて。
「___そんな顔をさせてしまうと分かっていたから、伝えるつもりはなかったんだ」
受話器を耳に当てると、安室さんの方から口を開いた。
41. ページ42
「…手荒な真似をお許しください」
「いえ…分かってますから、大丈夫です」
目元に布を当てて巻かれ、車の助手席に座るよう促される。
車が発進し、どこかへ向かっていく。
どこにあるのか分かってはいけないということは、何か隠したい事がある、もしくは一般の人が危険な目にあわないようにするため…もし後者なら、その場所は、危険だということになる。
安室さんがそこにいるのなら、何か危険な目にあっているんじゃないか。
「…着きました」
…そう思うと、会いたいのに会うのが怖いという気持ちが襲ってきた。
・
飛田さんが体に手を添えてくれ、ゆっくりと誘導してくれる。
「ここ、段差があるので気をつけてください」
「はい、ありがとうございまっ、す…?!」
言われたそばからずるっと見事に段差らしきものを踏み外し、飛田さんに体を支えられた。
"すみません"と言うと、"気にしないでください"と返ってきた。
ほんの少し、微笑んでいるような気がした。
「…ここからはエレベーターに乗ります」
「……やっぱり、地下…なんですね」
「…ええ、危険ですので」
「……」
どっどっと心臓が波打ち、肌寒い季節なのに、体から汗が出てくる。
無機質な機械音が止まりドアが開いた音がすると、ゆっくりと目元の布を外された。ずっと視界が暗闇だったから、わずかな明かりでさえ眩しく感じる。
…奥に小さな透明張りの部屋があり、顔は見えないけど、そこに安室さんらしき人が座っていた。
・
恐る恐る近づいていくと、椅子から立ち上がった。
…ゆっくりとこちらに来て、ガラス越しに目が合う。
「…あむろさん…っ」
状況はすぐに分かった。…危険だと言う理由も。
涙が滲み足が震え、それ以上近づけなくなる。
私を見ると、目を見開き動揺した。
同時に私の後ろにいる飛田さんを鋭い目つきで捉え、責めたような
下を向いて必死に止めよう止めようと思っても涙が溢れる中、電話の音が鳴り響いた。
顔を上げると、安室さんが受話器を耳に当てていて、近くの壁に付いている電話から音が出ていると分かった。…電波が遮断されている部屋に一人でいるのだと思うと、胸が痛くて仕方がなくて。
「___そんな顔をさせてしまうと分かっていたから、伝えるつもりはなかったんだ」
受話器を耳に当てると、安室さんの方から口を開いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
274人がお気に入り
274人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柚葉(プロフ) - かえでさん» かえで様。コメントありがとうございます!すみません、今2と3の体裁を整えている関係で一時的にパスワード保護してます!まだ修正が済んでいませんが、読んでる途中に若干体裁が変わるのが気にならなければ、メッセージでパスワードをお送りします!いかがでしょうか? (8月25日 18時) (レス) id: 00a9d1680b (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - シリーズ2個目を読みたいンですけど無理でしょうか?パスワードがかかってるようで (8月25日 17時) (レス) id: bf6f1db929 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:柚葉 | 作成日時:2023年6月18日 14時