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佐藤くんと別れ家に帰ってから、今日は少し早めにお風呂に入った。
ドライヤーで髪を乾かしスマホを触っている時、スマホが震えた。


佐藤くん土曜日楽しみです!早く会いたいです!


…どのみち明日も私の元へ来るだろうに、いつもこんな風にどストレートに自分の気持ちをぶつけてくる。

はじめはただの変人だと思ってたけど…


「(……うーん、悪い子ではないんだよね)」


むしろ、懐かしい雰囲気すら感じる子で。
…だけど、気持ちには応えられないってもっと強く言わなきゃいけないのかな…いや、それも毎日言ってるんだけどな。都合悪いことは聞こうとしてくれな…


「ッぅわあっち!!!!」


片手間にドライヤーをかけてたから、切る時にドライヤーの先を首に当ててしまった。


「…冷やさなきゃ…」


古いドライヤーだからか機械はかなり熱を帯びていて、首元は赤くなってしまった。


「え、宅配…?!」


ヒリヒリしている首元を冷やそうと、冷蔵庫から保冷剤を取り出した時、今度は部屋にインターホンが鳴り響いた。

モコモコのルームウェア、どすっぴんにメガネ、前髪にはキャラ物のピン…おまけに風呂上がりで顔は赤い。だけど宅配ならまあ良いかと、その格好で玄関に向かった。









「……え……あれ、えーと…あれ、」


少し汗ばみ、目の前で息を切らして立っている相手に、思考回路が停止する。

スーツだから、仕事帰り…?て、そうじゃなくて…!
なぜ安室さんがここに……は?!私いまとんでもない格好してたんだった…?!


「あむろさんっ、ご、ごめんなさ、ちょっとだっけ待っ…ッ!」


ドアを閉めようとしたけど、ガタンっと鈍い音を立てて手でそれを阻止された。私がその力にかなうわけもなく、呆気なくまたドアは開けられた。


「…あ、あの…」

「……」


どうしたのか聞くより前にゆっくりと距離を縮められ、扉は閉まる。


「い、…っ、」


不意に、さっき火傷した首元に指で触れられ、声が出た。


「…首、赤くなってますよ」

「え?…あ、それは……。…」

「……」


さっきドライヤーを当てちゃって…と言いかけ、間抜けな感じがして恥ずかしいから口をつぐんだ。


「…それは?」

「ええ、いや…」


濁しているのに、真っ直ぐ目を見てきて追求してくる。
…なんで今日はこんなに食い下がってくるんだろう?!

濁したままでいると、そっと顔が近づいてきた。

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柚葉(プロフ) - かえでさん» かえで様。コメントありがとうございます!すみません、今2と3の体裁を整えている関係で一時的にパスワード保護してます!まだ修正が済んでいませんが、読んでる途中に若干体裁が変わるのが気にならなければ、メッセージでパスワードをお送りします!いかがでしょうか? (8月25日 18時) (レス) id: 00a9d1680b (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - シリーズ2個目を読みたいンですけど無理でしょうか?パスワードがかかってるようで (8月25日 17時) (レス) id: bf6f1db929 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚葉 | 作成日時:2023年6月18日 14時

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