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「じゃあね佐藤くん…っ、わわ!」


ポアロの前で別れようとすると、腕を引かれた。


「…なに、どうしたの…?」


いつも子犬のような顔をしているのに、あまりにも真剣な顔をしているから、思わず息を呑む。


「今週末、どこかに行きませんか…?」

「……どこかってどこに…?」

「そ、それは勿論!Aさんの行きたいところへ…
ぼ、僕が精一杯計画を立てます…!」

「……」


物凄い決心で伝えてくれてるのが分かり、いつもみたいに適当にあしらう気にはなれなかった。


「うん、分かった。
最近テスト期間で勉強に追われてたし…気分転換に行こうか」

「本当ですか…!!!嬉しいです…!
ありがとうございますAさん…!!」

「ふ…いいよ」


ニコニコと笑う後輩を見て、私もつられて笑顔になった。











「(……19時半)」


本庁を出て急いでポアロに向かったが、恐らくもう片付けをしている頃だ。

着いてから勢いよく扉を開けると、反対側からも扉を開けられ、少しよろけそうになった。


「あ、安室さん…!お久しぶりです」

「梓さん、お久しぶりで…あれ、どこかに行く予定でも?」


急いだ様子で、見覚えのあるトートバッグを持っていた。
聞かずとも、意外と抜けたところがある彼女のものだとすぐに分かる。


「実は…Aちゃんの忘れ物みたいで…!
片付けの時間まで気づかなかったんですけど、多分中身は、」

「ノートパソコンですね。
僕が持って行きますよ、車で来てますし」

「えっ、良いんですか…?」

 
様子を伺うように見上げてくる梓さんから、カバンを受け取る。


「はい、すぐに持って行きます。あ、代わりと言ってはなんですが、あと片付けはお願いしても…」

「それは大丈夫ですよ!じゃあお願いします!」


"また明日"と挨拶をし、そのまま車に向かおうとした。


「あ、でも…今頃あの子犬系男子と一緒にいるかも…」


その言葉で、急いで向かおうとしていた足を思わず止めた。


「子犬系男子…」


…その男が誰なのかも、すぐに分かる。


「ほら、2週間前にAちゃんに公開プロポーズしたあの男の子ですよ!安室さんが休んでる間も、それに今日も!ずーっとAちゃんにくっついて回ってて…

なんかたまたまお店の前で話してるの聞いたんですけど、今週末デートに行くとか嬉しそうに話して…

…て、あれ?!安室さん?!もう、またすぐいなくなって_____」



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柚葉(プロフ) - かえでさん» かえで様。コメントありがとうございます!すみません、今2と3の体裁を整えている関係で一時的にパスワード保護してます!まだ修正が済んでいませんが、読んでる途中に若干体裁が変わるのが気にならなければ、メッセージでパスワードをお送りします!いかがでしょうか? (8月25日 18時) (レス) id: 00a9d1680b (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - シリーズ2個目を読みたいンですけど無理でしょうか?パスワードがかかってるようで (8月25日 17時) (レス) id: bf6f1db929 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚葉 | 作成日時:2023年6月18日 14時

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