今日:4 hit、昨日:71 hit、合計:119,567 hit
小|中|大
「わ、できましたAさん!」
まるで花が咲きそうなほど満面の笑みを浮かべるのは、2週間前に知り合った大学の…後輩、とでも言おうか。
「はいはい、良くできました。
じゃあ残りの実験結果も、レジュメにまとめちゃおうか」
「はい!分かりました!」
「……」
私が適当にあしらっても、嬉しそうにニコニコと見つめてくる。
…慣れない、慣れないよこの感じ…!!!
いくら毎日忠犬の如く私の元へ来るからと言えど。
2週間前、突然公開告白をしてきた、佐藤くん。2年前の大学受験の日、入試の手伝いをしていた私に、持ってくるのを忘れた筆記用具を借りた…正確には貰ったらしく。
以来、私にずっと思いを寄せてくれてたと。
そして、意を決して告白をしてきたのが、偶然、ポアロで、しかも安室さんもいた日だった…というわけだ。
あの日は気まずくて、私はすぐに帰った。
けれど、次の日から大学で事あるごとに話しかけてくるようになった。
…一つ不思議なのは、記憶力の良い私が、彼のことを全く覚えていないこと。確かに2年前、入試の手伝いはしてたけど…誰かに何かを貸した覚えが無いのだ。
カタカタとキーボードを打つ後輩を見て、この先どうしようかと、ため息が出た。
・
「「Aさん!」」
「あれ、園子ちゃん蘭ちゃん!久しぶりだね」
"お久しぶりです!"と、元気よく挨拶してくれた2人は、隣のテーブルについた。
園子ちゃんはすぐに、私の耳元に顔を寄せる。
「あれからずっと、この男、来てる感じとか…?」
「…まあ、うん…」
"信じらんない!"と園子ちゃんはぷりぷりしている。
「Aさん、あれからポアロに全然来てなかったですけど…
安室さんも最近ずっと休んでるみたいなんです」
「そう、なんだ…」
蘭ちゃんの言葉で、もう2週間も顔を合わせていない安室さんに思いを馳せる。
あの日以来、2人でいるところを安室さんにはなんとなく見られたくなくて、ポアロを避けていた。
今日はたまたまいないみたいだったから来たけれど…何かあった、とか…?やっぱり、警察…なのかな。
怪我はしていないかな、事件に巻き込まれていないかな…毎日毎日、安室さんのことばかり考えている。
「Aさん、最近、大丈夫ですか…?」
「…え、あ、大丈夫だよ!ありがとうね」
蘭ちゃんの言葉に、精一杯笑って見せた。
早く、忘れなきゃ……安室さんのことを。
30. ページ31
「わ、できましたAさん!」
まるで花が咲きそうなほど満面の笑みを浮かべるのは、2週間前に知り合った大学の…後輩、とでも言おうか。
「はいはい、良くできました。
じゃあ残りの実験結果も、レジュメにまとめちゃおうか」
「はい!分かりました!」
「……」
私が適当にあしらっても、嬉しそうにニコニコと見つめてくる。
…慣れない、慣れないよこの感じ…!!!
いくら毎日忠犬の如く私の元へ来るからと言えど。
2週間前、突然公開告白をしてきた、佐藤くん。2年前の大学受験の日、入試の手伝いをしていた私に、持ってくるのを忘れた筆記用具を借りた…正確には貰ったらしく。
以来、私にずっと思いを寄せてくれてたと。
そして、意を決して告白をしてきたのが、偶然、ポアロで、しかも安室さんもいた日だった…というわけだ。
あの日は気まずくて、私はすぐに帰った。
けれど、次の日から大学で事あるごとに話しかけてくるようになった。
…一つ不思議なのは、記憶力の良い私が、彼のことを全く覚えていないこと。確かに2年前、入試の手伝いはしてたけど…誰かに何かを貸した覚えが無いのだ。
カタカタとキーボードを打つ後輩を見て、この先どうしようかと、ため息が出た。
・
「「Aさん!」」
「あれ、園子ちゃん蘭ちゃん!久しぶりだね」
"お久しぶりです!"と、元気よく挨拶してくれた2人は、隣のテーブルについた。
園子ちゃんはすぐに、私の耳元に顔を寄せる。
「あれからずっと、この男、来てる感じとか…?」
「…まあ、うん…」
"信じらんない!"と園子ちゃんはぷりぷりしている。
「Aさん、あれからポアロに全然来てなかったですけど…
安室さんも最近ずっと休んでるみたいなんです」
「そう、なんだ…」
蘭ちゃんの言葉で、もう2週間も顔を合わせていない安室さんに思いを馳せる。
あの日以来、2人でいるところを安室さんにはなんとなく見られたくなくて、ポアロを避けていた。
今日はたまたまいないみたいだったから来たけれど…何かあった、とか…?やっぱり、警察…なのかな。
怪我はしていないかな、事件に巻き込まれていないかな…毎日毎日、安室さんのことばかり考えている。
「Aさん、最近、大丈夫ですか…?」
「…え、あ、大丈夫だよ!ありがとうね」
蘭ちゃんの言葉に、精一杯笑って見せた。
早く、忘れなきゃ……安室さんのことを。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
274人がお気に入り
274人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柚葉(プロフ) - かえでさん» かえで様。コメントありがとうございます!すみません、今2と3の体裁を整えている関係で一時的にパスワード保護してます!まだ修正が済んでいませんが、読んでる途中に若干体裁が変わるのが気にならなければ、メッセージでパスワードをお送りします!いかがでしょうか? (8月25日 18時) (レス) id: 00a9d1680b (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - シリーズ2個目を読みたいンですけど無理でしょうか?パスワードがかかってるようで (8月25日 17時) (レス) id: bf6f1db929 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:柚葉 | 作成日時:2023年6月18日 14時