今日:12 hit、昨日:21 hit、合計:119,504 hit
小|中|大
「えっと…今はお客様も少ないので、他の席も空いてますが…」
梓さんが戸惑いながら男性に声をかけるけど、当の男性は真っ直ぐに私を見てくる。
「いえ、ぼ、僕は…!Aさんに、会いに来たので…」
「あの…すみません、他のお席に…」
「梓さん、私は大丈夫です」
「え、ほ、ほんとに…?」
どこかで見たことのあるような、ないような…そんな気がしたから、思い出すためにもそれも制止した。
「ちょっと何なんですかアンタ?」と園子ちゃんが隣からガンを飛ばし、男の人があわあわし、「園子やめなよ!」と蘭ちゃんが止める。…そんな3人の姿を見ながら、必死に昔の記憶を探る。
…誰だろう、きっとどこかで会ったことがある。
「_____ご注文はいかがなさいますか?」
・
その声で、さっきまでの思考も一瞬で止まった。
もう忘れるなんて言っておきながら、真っ先に目で追ってしまう。
注文を取りにそばに来た安室さんも、怪しげな男性ではなく、私を見てきて。
心配そうな顔をしていて、僅かに瞳 が揺れたのが分かった。
…安室さん…いつものように呼びかけそうになった。
「AAさんっ…」
だけどそれも、凛とした声に遮られた。
ガタガタっと音を鳴らしながら、目の前の人は勢い良く立ち上がる。
「ちょっとアンタ!私の話聞いて…」
「……僕と、結婚を前提に付き合ってください」
園子ちゃんの言葉を遮って伝えられたその言葉に、一瞬頭の中が???になった。
「ああ、結婚ね結婚……ん…?けっこん?!?!」
◇
「_____蘭見てよ。まーた来てんね」
園子はそう言うと、2週間前にAさんに公開告白した佐藤という人にべーっと舌を出した。そしてそれを宥めるまでが、一連の流れ。
あの日以来、Aさんはあまりポアロに来なくなったけれど、今日はたまたま来ているみたいで。…多分、安室さんに2人でいるところを見られたくないんじゃないかと思う。Aさんと安室さんの、2人の空気感からして、何となく。
最近Aさんに聞いた話では、同じ大学の人だから、お昼は食堂、夕方は研究室や図書館にまで、足を運んで来るらしい。
「(でもAさん、意外とリラックスして後輩の人と話しているような…)」
素直で真っ直ぐな人だということは分かるから、気が合うところもあるのかもしれない。
…だけど、Aさんが想っているのは…多分、安室さん…だよね。
29. ページ30
「えっと…今はお客様も少ないので、他の席も空いてますが…」
梓さんが戸惑いながら男性に声をかけるけど、当の男性は真っ直ぐに私を見てくる。
「いえ、ぼ、僕は…!Aさんに、会いに来たので…」
「あの…すみません、他のお席に…」
「梓さん、私は大丈夫です」
「え、ほ、ほんとに…?」
どこかで見たことのあるような、ないような…そんな気がしたから、思い出すためにもそれも制止した。
「ちょっと何なんですかアンタ?」と園子ちゃんが隣からガンを飛ばし、男の人があわあわし、「園子やめなよ!」と蘭ちゃんが止める。…そんな3人の姿を見ながら、必死に昔の記憶を探る。
…誰だろう、きっとどこかで会ったことがある。
「_____ご注文はいかがなさいますか?」
・
その声で、さっきまでの思考も一瞬で止まった。
もう忘れるなんて言っておきながら、真っ先に目で追ってしまう。
注文を取りにそばに来た安室さんも、怪しげな男性ではなく、私を見てきて。
心配そうな顔をしていて、僅かに
…安室さん…いつものように呼びかけそうになった。
「AAさんっ…」
だけどそれも、凛とした声に遮られた。
ガタガタっと音を鳴らしながら、目の前の人は勢い良く立ち上がる。
「ちょっとアンタ!私の話聞いて…」
「……僕と、結婚を前提に付き合ってください」
園子ちゃんの言葉を遮って伝えられたその言葉に、一瞬頭の中が???になった。
「ああ、結婚ね結婚……ん…?けっこん?!?!」
◇
「_____蘭見てよ。まーた来てんね」
園子はそう言うと、2週間前にAさんに公開告白した佐藤という人にべーっと舌を出した。そしてそれを宥めるまでが、一連の流れ。
あの日以来、Aさんはあまりポアロに来なくなったけれど、今日はたまたま来ているみたいで。…多分、安室さんに2人でいるところを見られたくないんじゃないかと思う。Aさんと安室さんの、2人の空気感からして、何となく。
最近Aさんに聞いた話では、同じ大学の人だから、お昼は食堂、夕方は研究室や図書館にまで、足を運んで来るらしい。
「(でもAさん、意外とリラックスして後輩の人と話しているような…)」
素直で真っ直ぐな人だということは分かるから、気が合うところもあるのかもしれない。
…だけど、Aさんが想っているのは…多分、安室さん…だよね。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
274人がお気に入り
274人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柚葉(プロフ) - かえでさん» かえで様。コメントありがとうございます!すみません、今2と3の体裁を整えている関係で一時的にパスワード保護してます!まだ修正が済んでいませんが、読んでる途中に若干体裁が変わるのが気にならなければ、メッセージでパスワードをお送りします!いかがでしょうか? (8月25日 18時) (レス) id: 00a9d1680b (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - シリーズ2個目を読みたいンですけど無理でしょうか?パスワードがかかってるようで (8月25日 17時) (レス) id: bf6f1db929 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:柚葉 | 作成日時:2023年6月18日 14時