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24. ページ25




「……」


さっきまで楽しそうに笑顔で話をしていたのに、まるで赤子のようにこてっと眠りについた。微かに寝息も聞こえ、相当深く眠りについていることが伺える。

信号待ちの時に横に目を向けると、彼女の顔に長い髪がかかっていた。口の中に入ってしまいそうだったため、その髪をそっとはらうと、気持ち良さそうな顔で寝ていた。


「………君はほんと、色々と危機感がないな」


タイミング良く信号が青に変わり、また車を発進させると、数時間前の出来事が頭のなかに蘇ってきた。






















「_____わ、わかりました!
内緒ですね、任せてください!」

「本当に頼みますよ…?」

「分かってますよ…!あ…」


Aさんは僕に聞こえていないかと気にするように一瞬チラッとこっちを見たが、残念ながら全て聞こえている。


「そんなに何度も言って、飛田さんもしかして疑ってるんでしょ!」

「う、うう疑ってないですよ…!」

「ふはっ…嘘、さっきからすごい焦ってますよ?_____」


少年探偵団の彼らといる時みたいに、風見に笑いかける彼女を見て、何か胸がつっかえる感じがした。


「_____お待たせしてすみません」


席に戻ってきた風見は、少し気まずそうに頭を掻く。


「彼女とは本当に偶然会ったのか」

「え、ええ、たまたまぶつかっただけで…
下の名前がAさんということも、今初めて知りました。

…自分はもちろん、降谷さんの本名も素性も何一つ言ってませんので、大丈夫、かと…」

「……」


鋭い彼女には、この会話すら聞こえているのではないかとふと彼女を見たが、ただ笑顔で接客をしていた。


「…風見。お前は公安だろう。

見ず知らずの女性に接触して意味もなく仲を深めるのは、僕たちにとって…」

「……お言葉ですが、それは降谷さんも一緒じゃありませんか」


"命取りになる"と言いかけたところで、低い声で遮られた。
職業柄、普段外ではなるべく声をひそめて話をするが、風見は珍しく少し語気を強めた。


「何の目的も無しに、彼女と出会った…いや、接触したと胸を張って言えるんですか?_____」



















「…ん、あれ…」


目を開けると、窓越しに、暗闇の中で街灯がちらほらと見えた。


「よく眠れましたか?」


声のした方を見ると、安室さんが運転席でハンドルに右肘をつき、少し困ったように笑いながら私を見ていた。

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柚葉(プロフ) - かえでさん» かえで様。コメントありがとうございます!すみません、今2と3の体裁を整えている関係で一時的にパスワード保護してます!まだ修正が済んでいませんが、読んでる途中に若干体裁が変わるのが気にならなければ、メッセージでパスワードをお送りします!いかがでしょうか? (8月25日 18時) (レス) id: 00a9d1680b (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - シリーズ2個目を読みたいンですけど無理でしょうか?パスワードがかかってるようで (8月25日 17時) (レス) id: bf6f1db929 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚葉 | 作成日時:2023年6月18日 14時

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