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「ごめんな〜A、忙しいのにヘルプ入ってもらって…」


申し訳なさそうな顔をする店長は、高校生の時に私が働いていた時よりも、少し痩せた気がした。


「大丈夫ですよ!また困った時はいつでも呼んでください!
ロッカーで着替えてきたらすぐ行きますね!」


店長はそのまま"ありがとう"と言ってキッチンに戻って行った。

所謂華金である金曜日とか、土日は飲食店は特に混むので、こうしてたまに昔働いていた居酒屋にヘルプに入る。
今日は特に混んでいて、裏から入ってくる時も、表の方がガヤガヤしているのがよく分かるくらいだった。


「(…昼間に出会った疲れ果てていたサラリーマン…?の人も、ゆっくり居酒屋にでも行けてるかな)」




















「A、早速だけどこれ5番テーブルによろしく!」

「はい!」


カウンターに並んだ料理を両手に持つ。


「(5番テーブル…は、そうだあそこだった)」


…それにしても、居酒屋に来てる割には健康志向な料理を選んでるなぁ。サラダに焼き鳥に、このお店の女性向けのローカロリーメニュー…。


「お待たせいたしました!」


なんてことを考えながら、特にお客様のことなど注視せずに料理をテーブルに並べ始めた。

 
「…Aさん?」

「…Aさん?」


聞き慣れた声と聞き覚えのある声に、名前を呼ばれた。

まさかと思い、顔を上げる。


「え、安室さん…?!て、飛田さんも?!?!」


まさかと思ったのは、安室さんの声だとすぐに分かったからであって、そこに飛田さんもいるとは思いもしなかった。

安室さんは大きな目をまん丸にしている。


「…飛田。Aさんと知り合いだったのか」

「い、いえ、実は今日_____」


いつもより随分と低い声で呟いた安室さんに、飛田さんが慌てながら昼の事情をざっと説明してくれた。
そんなに慌てなくても良いのにとはたから見て思うくらい、噛み噛みで話す。そんな様子を見ていて、そうか!とあることが閃いた。


「もしかして!飛田さんが言ってた(じょう)…むっ、」

「わわ、それは!」


上司って、安室さんのことですか…と聞こうとしたけど、慌てて立ち上がった飛田さんに口元を塞がれた。


「今日の話は、(ふる)っ…安室さんには内緒です!!!」


そしてコソコソっと耳打ちされた。


「わ、わかりました…!」


ぐっと親指を立てると、飛田さんはほっと胸を撫で下ろした。

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柚葉(プロフ) - かえでさん» かえで様。コメントありがとうございます!すみません、今2と3の体裁を整えている関係で一時的にパスワード保護してます!まだ修正が済んでいませんが、読んでる途中に若干体裁が変わるのが気にならなければ、メッセージでパスワードをお送りします!いかがでしょうか? (8月25日 18時) (レス) id: 00a9d1680b (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - シリーズ2個目を読みたいンですけど無理でしょうか?パスワードがかかってるようで (8月25日 17時) (レス) id: bf6f1db929 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚葉 | 作成日時:2023年6月18日 14時

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