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「この後は事情聴取があったり幾らか長引きそうですが…
大丈夫そうですか?」


軽く屈んで心配そうに聞いてきてくれる。


「だ、大丈夫です…すみません、色々とご迷惑おかけして…
それに、こんな状況ですから帰るわけにも…」


ふと刑事さん達に目を向けると、ちょうど刑事さん達もこちらを見ていた。


「すみません、Aさん。次はあなたの事情聴取をさせていただきます」

「…分かりました」


体が持つだろうかと少し不安になっていると、"体調が悪いみたいなので、座ったままで"と金髪のお兄さんが付け加えてくれた。
優しい人なんだなと、率直に思った。


「ここにいる小学生達が男性を発見して悲鳴を上げるまでに、こちらにいる男性や女性に変わった様子はありませんでしたか?」

「…変わった様子…」


…正直、思い当たる節しかない。
言い淀んでいると、既に事情聴取を終えたらしい男性が険しい顔でこちらを見た。
鋭い視線に、逆恨みされたら怖いな…なんて思っていると、ぽんっと背中に手が添えられた。


「…大丈夫。あの男はもう、何もできやしませんから」

「……」


その顔は、さっきまでの優しいお兄さんにも見えるし、まるで警察のような凛々しい顔にも見えた。
まるで、あの人が犯人だと既に分かっているかのような。


「その男性はすごい剣幕で電話をしていました。"アイツを殺したのが俺なんてふざけたこと抜かすな!俺は何もしてねぇ!!!"て…」

「っ、おい!適当なこと言うなよ!…大体てめー、体調悪いくせにそんなこと覚えてんのかよ!」


今にも殴りかかってきそうな男性を見て、お兄さんが私の前に出てくれた。


「…"もしもし…ああ、俺だ」


口を開いた私に、全員の視線が集まった。


「何で同じ店内にいるのにってそんなの…まあ、良いじゃねえか。とにかく、このまま少し話そうぜ。2人じゃないと話せねぇことだからよ。

あ?トモミ…?もう5年も前の…。
だから、アイツを殺したのが俺なんてふざけたこと抜かすな!
俺は何もしてねぇ!!!"

…そう、…っ言ってました」


一言一句記憶と違わずに話し終えると、久しぶりに頭を使ったせいか、また息が浅くなる。
周りが驚いている中、目がチカチカしてきた。


「…くそっ!この(あま)!!」


最後に見たのは、すごい剣幕で私に向かってくる男の人の恐ろしい形相だった。
殴られる…咄嗟に目を瞑ると、同時に意識が遠くなっていった。

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柚葉(プロフ) - かえでさん» かえで様。コメントありがとうございます!すみません、今2と3の体裁を整えている関係で一時的にパスワード保護してます!まだ修正が済んでいませんが、読んでる途中に若干体裁が変わるのが気にならなければ、メッセージでパスワードをお送りします!いかがでしょうか? (8月25日 18時) (レス) id: 00a9d1680b (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - シリーズ2個目を読みたいンですけど無理でしょうか?パスワードがかかってるようで (8月25日 17時) (レス) id: bf6f1db929 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚葉 | 作成日時:2023年6月18日 14時

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