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あれから少し話し、お互い頑張ろうとエールを送り合ったところで、別れることにした。


「あの…!」


後ろから呼び止められたので、振り向く。


「自分は、(かざ)…飛田と言います」

「かざひだ…さんですか、分かりました!」

「いえ、飛田です」


鋭い訂正が入り気まずかったため、へらっと笑って誤魔化すと、飛田さんも普段の気難しそうな顔から少し微笑んでくれた。


「私はAです」

「Aさんですね…分かりました。
…これ、本当にありがとうございました」


もう何度もコンビニで買ってきた食べ物や飲み物にお礼を言ってくれたのに、律儀な人だ。


「いえいえ!それより、今日はさっき言ってた上司の方と居酒屋にでも行って、ぱーっと奢ってもらいましょ!
そしてぱーっと飲んじゃってください!」

「…ふっ…はい、そうします。ではまた」


出会った時よりも随分シャキッとした顔になった飛田さんが軽く手を上げたので、私も軽く手を振って今度こそ本当に別れた。


「(……なんか最後のあの表情(かお)…私を助けに来てくれた、あの時の安室さんみたいだったな)」





 











「風見」


周りを警戒しながら、合流地点で先に待っていた風見に声をかける。


「降谷さん、お疲れ様です」


昼前の疲れ切った顔は、幾らか勇敢な顔つきに変わっていた。
その後すぐに、見慣れないビニール袋を手にしているのが目についた。


「君が買ったのか?いつもそのコンビニでは買わないだろう」

「あ、いえ…その…」

「ハッキリ言え」


萎え切らない答えに、率直に追求すると、いつになく焦ったように姿勢を正した。


「…自分が買いました」

「恋人でもできたのか?」

「っ、違いますよ!断じて違います…!」

 
慌てる様子からして、恋人がいるわけではないことは分かる。
 

「は…そんなに焦らなくても良い。恋愛をするのは自由だ。
ただ…」


距離を縮めると、風見は先ほどよりも背筋を伸ばした。


「……いつも言っているが、一般人との接触には十分気をつけろ。…我々は公安だ」

「……はい、心得ています。…任務に戻ります」


そこまで言うと、風見は走って行った。



"…いつでもって…また爆発した時、とか…?"



ふと、子どものように笑って話す彼女の顔が浮かんだ。

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柚葉(プロフ) - かえでさん» かえで様。コメントありがとうございます!すみません、今2と3の体裁を整えている関係で一時的にパスワード保護してます!まだ修正が済んでいませんが、読んでる途中に若干体裁が変わるのが気にならなければ、メッセージでパスワードをお送りします!いかがでしょうか? (8月25日 18時) (レス) id: 00a9d1680b (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - シリーズ2個目を読みたいンですけど無理でしょうか?パスワードがかかってるようで (8月25日 17時) (レス) id: bf6f1db929 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚葉 | 作成日時:2023年6月18日 14時

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