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まさか、そんな言葉をかけられるとは思っていなくて、焦りよりも感心すら覚えた。大人っぽい子だとは思っていたけれど、こんな風に探りを入れてくるとは。

ニコニコと無邪気な顔で私を見てくるけれど、そっと私の服に伸びてきた手が何を付けようとしているのか分かり、さりげなくそれをかわしてコナンくんを抱き抱える。


「さ、帰ろっか」

「…ちょ、まだ話はっ…」


子どもたちを見送る安室さんが、ふと私の方を見た。

…コナンくんと初めて出会ったのはあのレストランで。
そして、安室さんと出会ったのも同じ日。

目が合うと、またいつもみたいに優しく笑った。
…その表情(かお)を見て、当たってほしくない予感を見て見ぬふりすることに決めた。











コナンくんを含めた子どもたちを見送ると、安室さんはもう遅いから送ると言ってくれた。大丈夫だと伝えたけど、遠慮しないでと言われ、その言葉に甘えることにした。

梓さんは今日は用事があって夕方には帰っていったし、少年探偵団のみんなも見送った後だから、必然的に2人で横並びになって歩くことになって。

いつもなら何か元気に話してくれるのに、今日は口数があまり多くなくて。何を話そうとドキドキしながらあれやこれや考えていると、"Aさん"と名前を呼ばれた。


「は、はい…!」


ちら、と横を見ると、ぽりぽりと気恥ずかしそうに頬を掻いていて。


「…もし良かったらで良いんですが」

「…?」

「連絡先、交換しませんか?」


少し緊張しているかのようなその姿を見て、何故か私もつられるように緊張が増して。きっとこれくらいのこと、慣れているはず。


「…もちろんです。…ふっ…でも安室さん、女の人と連絡先を交換するの、きっと慣れてますよね?」


それなのに、言いづらそうに言ってきた姿が少し可愛く見えた。


「梓さんも言ってました。ポアロのお客さんにモテモテで、いつも…」

「僕ってそんな風に見えてるんですか?」

「え…」

「……別に慣れてませんけど。
お客さんと交換したこともないですし」


ムッとし、納得いかないと言いたげで。
小さい子みたいな表情に、不意にキュンとした。
…え…キュン…?!


「…す、すみません……あ、じゃあ…交換、しましょうか…?」


胸のときめきには気づかなかったふりをしてスマホを差し出すと、安室さんも同じようにスマホを取り出して。
そうして、ほんの少し気まずい中、連絡先を交換した。

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柚葉(プロフ) - かえでさん» かえで様。コメントありがとうございます!すみません、今2と3の体裁を整えている関係で一時的にパスワード保護してます!まだ修正が済んでいませんが、読んでる途中に若干体裁が変わるのが気にならなければ、メッセージでパスワードをお送りします!いかがでしょうか? (8月25日 18時) (レス) id: 00a9d1680b (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - シリーズ2個目を読みたいンですけど無理でしょうか?パスワードがかかってるようで (8月25日 17時) (レス) id: bf6f1db929 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚葉 | 作成日時:2023年6月18日 14時

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