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店内のざわざわとした声が頭に響く。


「(……頭痛い)」


昔から耳が良いせいか、人混みや雑踏が苦手だった。


「元太くん今日も食べ過ぎだよ〜!!」

「そうですよ〜」
 

小学生くらいの男の子と女の子がご飯を食べながら、楽しそうにわいわいとしている声。


「アイツを殺したのが俺なんてふざけたこと抜かすな!
俺は何もしてねぇ!!!」


近くのテーブルで怒声をあげながら電話をしている男の人の声。


「(薬、飲もう…)」


耐えられなくなって鞄に手を伸ばし、ピルケースを取り出した。


「っあ…」


ぼーっとしていたから手元が狂い、取り出した錠剤を床に落としてしまった。
まん丸い錠剤は、そのカーブに沿って大理石の床をコロコロと転がっていく。薬はそのまま転がっていき、コツンと僅かな音を立てて誰かの茶色の革靴に当たった。

床から上に目線を上げると、その誰かと目が合った。

パッと目を引いたのは、小麦色の肌に、サラサラの金髪。
どこか憂いを含んだような目に見えたけれど、私と目が合うと、すぐに人の良さそうな笑顔で"これ?"と言うように、拾った薬を軽く掲げた。

うんうんと頷いて見せたけど、そうだ、もしかして日本語じゃ通じないかもしれない…そう思い、必死に英語を思い浮かべながら口を開こうとした。


「「キャァァァァァ!!!!」」


耳をつんざくような大きな声に、思わず頭を押さえた。









「えー、トイレの個室で死亡していたのは、今日このレストランで友人2名と食事をしていた_____」


まさか自分が食事をしているレストランで殺人事件が起きてしまうとは思わず、無意識にため息が出た。


警視庁捜査一課の方が何人か訪れ、そのまま現場で事情聴取が始まったのだ。トイレの個室で男性が亡くなっていたらしく、第一発見者はレストランで食事をしていた4人の小学生だった。


「(それにしても、息苦しい…)」


結局薬を飲みそびれてしまい、頭痛はますます酷くなり呼吸が少しずつ浅くなってきた。
よろけながら近くの椅子に座ろうとした時、誰かに肩を支えられた。


「_____大丈夫ですか?…ひとまず座りましょうか」

「…あ、はい…」


さっきの人は、近くに来ると思っていたよりも背が高い人で、見上げる形になる。自分で立とうとするけれど、ふらふらして、そのまま軽く寄りかかる形になる。

言われるがまま近くの椅子に座ると、ニコッと笑って見せてくれ、こんな状況でも少し安心した。

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柚葉(プロフ) - かえでさん» かえで様。コメントありがとうございます!すみません、今2と3の体裁を整えている関係で一時的にパスワード保護してます!まだ修正が済んでいませんが、読んでる途中に若干体裁が変わるのが気にならなければ、メッセージでパスワードをお送りします!いかがでしょうか? (8月25日 18時) (レス) id: 00a9d1680b (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - シリーズ2個目を読みたいンですけど無理でしょうか?パスワードがかかってるようで (8月25日 17時) (レス) id: bf6f1db929 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚葉 | 作成日時:2023年6月18日 14時

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