検索窓
今日:10 hit、昨日:1 hit、合計:977 hit

●スメル・ケシ ページ26

そして、出会った人がいた。
「私はここらへんを縄張りとしている罠猟師です。あなたがたは?」
シンはその男の振る舞いに、違和感を覚えた。
先程通った町の人々とは少し違う訛りに
どう見ても、大人だが、成人ノ儀の印が頬にないこと。
さらに、確実に男は武人の気配がする。
その道を極めたものには言葉にならぬ格があるのだ。

“この男はケルト王国の密偵ではないか?”

彼の直管が告げていた。
シンは一か八か、ケルト語で話した。
「俺はシン。トラル帝国の捕虜にされていたが、脱出してきた」
もし男がトラル帝国民なら、わからぬ筈だ
だが、男は目を輝かせた。
「俺はケルト王国の密偵だ!逃げ出してきたのか!?」

「ああ、国家機密を盗んできた」
「なんと、なんと!カラメス・サン(凄いやつ)だ!」
その故国の言葉を聞き、シンは顔を綻ばせた。
「俺はイネス・サフィア。あんたは?」
シンは差し出された手をがっちり握った。
「俺はシン・ハセア。こっちはアンサンのトッツ・ケイヌ」
「どうも、トッツ・ケイヌです」
トッツはアンサン語で言ったが、イネスにはわかったらしい。
笑顔のまま、2人に言った。
「ついてこい!俺は船を持っている!このうっとおしいこの帝国から脱出しよう!」
スメル・ケシ(ありがとう)
トッツはアンサン語で言った。
インサンの案内で、シンたちは海岸へと向かった


三人は船に乗っている。
運良く、追い風に乗ることができ、船は帆をいっぱいに広げて広い海原を進んでいる。
だが、帆船が追ってきた。
「もう、バレたのか…」
インサンは言った。
「流石、トラル帝国だな。あの帆船は小型で、すぐに追いつかれるだろう。どうする?」
「決まってるさ。逃げるだけじゃ、奇襲を喰らう。俺たちがしなくてはいけないことは……」
シンは言った。
「なるほど、いい案だ!」
「早速、結構するか」


時は夕暮れ。
夕日の光を浴びて、帆船が東から近づいてくる。
シンの作戦はこうだ。

手近な島の裏側に上陸する。
そして、帆船が東から来るように仕向ける。
夕暮れ時だから、帆船は逆光でシンたちが海岸にいることに気が付かないだろう。
帆船が上陸したら、きっと帝国兵は島を探す。
すると、帆船には人があまり残らないはず。
その隙に帆船に乗り込み、帝国兵を捕縛する。

それを今、決行したのだ。
小さな帆船に乗っている人数はおよほ30ほど。
そのうちの20は出ていっただろう。
シンたちは隠れていた茂みから顔をだした

作戦決行だ。

●正義→←●乱戦



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
設定タグ:オリジナル , 短編 , , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:鸞鳥 | 作成日時:2020年7月6日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。