泥が塗られた花 (ページ20)

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ひにんページ20

廃れた林の街道に少女がいた
灰色の外套を着て、
腰から長いジョス(木の棒に弦を張って馬の革で補強したもの)を下げている
まだ、18そこらの少女だった

少女はしきりに懐に手を突っ込み、巾着の中身を確認している
その手に触れる硬貨の数は、僅かだった

だが、町に着けば微々たる量でも、金を稼げる
宿に泊まると高いから、町のはずれで野宿すればいい

少女は各地をさすらう、ひにん。流浪の民だった

ひにんの多くは、物乞いをしている
だが、少女は違う

「ひにんだとしても、人にあらずとも、
誇りを持って生きよ」

少女は父の言葉を思い出した

少女の曽祖父は、反逆罪に問われ、土地を剥奪された

そのため、少女の一族は耕作をする土地も、
住む土地も失ってしまったのだ

少女の目に町の街灯が見えた

少女は軽く身なりを整えると、門番に近寄り、声をかけた

門番は顔をしかめて、少女を見ると言う

「流れ者か。職はなんだぁ？
あ？非人？そんなものに、この町に入る資格はねぇ。
だがな、俺も鬼じゃねぇ。
この町で罪でも起こさねぇと誓うならいい
ただし、10チル(約380円)でな」

門番は手を突き出した
少女は巾着の中身を取り出した
チル銅貨48枚(約2000円)
それが少女の全財産だった

少女は門番の手に10チルを落とした
そうする他に、少女に手段は無かった

「────っ。」

少女の小さな呟きは町の喧騒の中に消えゆく

昼から大騒ぎをしている酔っぱらいが、少女の肩にぶつかった

人々は身なりの汚い少女を、存在しないかの如く扱う

それが、ひにんに定められた運命なのだろう

そうならば、私は黙ってそれを受け入れる

少女は再び同じ言葉を呟いた

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社会の勉強をしていたら、
思いついた話(((明日テストだろ勉強しろ

差別をされていた身分の『えた』と『ひにん』
『えた』は獣医、『ひにん』は物乞いのようです

彼らは共に、昔の日本に存在した人々ですが
それをファンタジーな世界線にぶち込みました

和風です。アジアみたいな感じ。

風にさらわれ、上空へ巻き上げられた木の葉の如く
大海原を漂うヤシの実の如く
潮騒の中で消えゆく運命の2人の人の物語

誰も知らないけれど、その物語は確かに在った
そんな小さなくだらない話です