■命令 ページ13
全身を板で殴られたような衝撃が走った
「どういうことだ？」
イアンが低い声で問うと、男は答えた
「分かりきったこと。
そなたは若きころ、山賊に襲われたであろう
あれは山賊ではない
サハレンの手の者共だ」
「なぜだ？」
「A…カナと言った方が良いな。
カナは
異能者だからだ。
生を操る異能を天界から授かって生まれた
ここまで言えば分かるだろう」
生を操る…
生物ならなんでも操れるのだろうか？
人間も
そこまで考えて、イアンはハッとした
初めてAの状態のカナに会ったとき
妙な足跡があった
あれは、カナが操ったのではないか？
だから、その男は後ろ向きに歩かされたのではないか？
イアンはゆっくりと口を開いた
「カナの異能を戦に使おうとしたサハレン。
それから守るというたてまえで
また、カナの能力を利用したいドン。」
男は苛立ったように言った
「お前…ドン王国の者であろう。
敵国に味方するのか？」
「俺は誰の支配も受けない
お前が言うようにカナが俺の娘ならなおさらだ」
すると、男は軽く笑みを溢して歌うように言った
「天高く飛ぶ矢羽
あの空の青こそ平和の如き
我らが国の平穏ぞ
兵どもの犠牲こそ
我らが平和と呼ぶものよ
何気なき茶の一時も
我が同胞は倒れている
“盾”の役目を果たし
倒れておる
我らが名こそ生きる盾
和の防人よ」
イアンは黙って聞いていた
「我らは国を守るために戦う
卑しい敵国からな
我らの忠義を、大義を
守るために戦う」
「大義だがなんだか、
俺の知ったことではない」
唐突に男が笑い出した
イアンが何事かと眉をひそめると、
男はようやく笑いやんで言った
「失礼した。
そなたの志の強さに
己の言ったことがちぐはぐに思えてな
イアン・ソン。
そなたは逃れようにもドンの生まれ
ドンで生きた者よ
その事実に基づいて言う
陛下の命令だ
イアン・ソンとカナ・ソンを
城に招く」
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何気にこのシリーズ長いけど
そろそろ完結します
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作者名：鸞鳥 | 作成日時：2020年7月6日 18時
