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7節目 ページ8

琉美が家に帰ると、おかえりなさーい、と明るい声が聞こえる。

車椅子をキィ、と軋ませながら、夜美が琉美のもとまで来て、その腕を広げた。

琉美はそれに答えるように、夜美をぎゅっと抱き締めて、ぽんぽんと背中を軽く叩く。

ああ、私の妹がこんなに可愛い。

琉美は生まれて何度抱いただろうという感激に胸を打ちつつ、安堵する。

「お姉ちゃん、今日のご飯なぁに?」

夜美がわくわくとした表情で聞くと、琉美はハッと我に返った。

そうだ、妹の可愛さに惚けている場合じゃない。ご飯の支度をしなくては。

琉美は帰りがてらに買って来た材料を取り出しながら、今日の夕飯のメニューを考える。

今日は卵を安く譲ってもらえたから、オムレツにしようか。

その旨を伝えると、夜美は、わぁい、と嬉しそうに顔をほころばせた。

ああ、私の妹がこんな可愛い。オムレツにチーズもサービスしてあげよう。

卵を安く譲ってくれた農家にも、今度、御礼をしなくては。

ボウルの中で卵をかき混ぜ、ミルクと塩、胡椒を入れるうちに、

鉄板の方で燻製した肉を薄く切ってカリカリに焼く。

鍋のほうにはキャベツとジャガイモをたっぷりいれたシチューが煮立っている。

焼けた肉をどけて、そこに卵を流し込むと、じゅうっ、といい音がした。

手早くかき混ぜながら、中にチーズを入れて形を整える。

ふわり、と卵の甘い匂いが立ち上った。

夜美がその様子を横から覗き見て、完成を今か今かと待っていた。

お皿に盛り付けると、夜美は待ちきれないとばかりに目を輝かせた。

「夜美、これ、席に持っていける?」

「うん、任せてよ。」

夜美に皿の乗ったトレイを渡して、テーブルまで持って行くように頼む。

夜美はトレイを膝に乗せて、器用にテーブルまで持っていった。

その間に、シチューを器によそって持って行く。

席について、いただきます、というころには、琉美もお腹がペコペコだった。

「美味しいね、お姉ちゃん。」

にこやかに言う夜美に、琉美は、いつ崩れるかも分からない幸せを強く感じた。

明日も、こうして愛しい妹と、食卓を囲めますように。

―――
作者の呟き

八割方食べ物のことしか書いていないです、ごめんなさい。

いつも腹減ってるやつとか思われてたらどうしよう。

8節目 ※ややグロテスク注意※→←6節目



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設定タグ:魔法少女は星に詠う   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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ゆずぽん(プロフ) - 実麗@受験生(建前)さん» あああ、ありがとうございます!そう言っていただけると幸いです……! (2017年11月26日 22時) (レス) id: 557f97ce01 (このIDを非表示/違反報告)
実麗@受験生(建前)(プロフ) - ゆずぽんさん» いえいえ!格好いいアクションシーンに一役買えただけでも嬉しいですし (2017年11月26日 18時) (レス) id: 58144b90d3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずぽん(プロフ) - 実麗@今年の誕プレは9mm口径モデルガンだったさん» ありがとうございます!折角貸してくださったのに、出番少なくてすみません・・・・・・。 (2017年11月26日 17時) (レス) id: b5c0886d76 (このIDを非表示/違反報告)
実麗@今年の誕プレは9mm口径モデルガンだった(プロフ) - 完結おめでとうございます!アンタレスを使って頂いてありがとうございました〜*^^* (2017年11月26日 9時) (レス) id: 80fcad1283 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずぽん(プロフ) - ありがとうございます!使わせていただきます! (2017年11月11日 20時) (レス) id: b5c0886d76 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆずぽん | 作成日時:2017年9月13日 0時

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