【魔法少女は星に詠う】水鏡に映るは哀か、それとも愛か。【企画派生作品】 (ページ24)

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暗いだけの空間に、自分の吐息の音が反響する。

手足は動くことを拒否し、脳は思考を放棄していた。

へたり込んだ地面の冷たさが、ソックスが覆っていない部分の肌から熱を奪い去っていく。

それと同じくらいに、冷たく、楽しそうな声が響く。

「思い出したでしょ？貴方は所詮、人殺しでしかない。」

酷く響く声が、何重にも重なって聞こえる。

他の音は一つも聞こえず、耳を塞ぐことさえ億劫で、声は自分の耳から脳に侵入していき、

まるで脳を蝕むように、ぐるぐると廻り続ける。

「たくさん殺して、たくさん壊して、それでも妹を愛するの？笑える。」

たくさん重なった声の中に、一つ、聞き覚えのあるような声があった気がした。

「貴方は所詮二番目なんだよ。ずっとずっと、永遠に、勝ちあがることなんて出来ない。

　姉にも、何にも。」

そうだ、自分はいつだって、一番になんてなれなかった。

「魔法少女になって、何か変わったと思った？ミアプラキドスって名前の星、知ってる？」

知ってるよ。静かな水の意味を持つ、りゅうこつざ座の、二番目に輝く星。

「そう、二番目。魔法少女になったって、何も変わらない。貴方はいつだって二番目なの。」

そうだ、そうだよ。どうせ勝ちあがれない。

「貴方ができるのは、可哀想な自分に酔うだけ。自己陶酔しかできない。」

ああ、言われなくたってわかってる。自らを友達だと、頼ってくれと言ってくれた人も、

憧れたあの人も、きっと自分を嫌いだったに決まってる。

だって自分はこんなにも塵屑で、何も出来ない、木偶の坊なのだから。

ああ、もう、何も聞きたくない。一人にしてくれ。

自分がいらないという事なんて、自分で一番分かってるんだ。

「ううん、貴方は分かってない。分かっているのなら、今すぐにでもその身を
　
　星の闇にでも捧げるべきじゃないの？」

だって、自分が死んだら、妹はどうするんだ。唯一残った妹だって、バケモノに脚を……。

「何言ってるの？まだ思い出してなかったの？」

ふっと、視界が移り変わった。