【魔法少女は星に詠う】水鏡に映るは哀か、それとも愛か。【企画派生作品】 (ページ22)

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5節目　※ややグロテスク注意※ ページ22

自分の部屋で妹と勉強をしていると、玄関の方から、

ガシャン、と何かが壊れる音が、それに続いて、家の使用人や家族の悲鳴が聞こえてきた。

何があったのかわからず、妹に自分の部屋に隠れているように言って、

お守りの水鉄砲と護身用のナイフを持って、玄関の方へと走った。

行かなければよかった。

あのときの息苦しさを、生涯、忘れることなんてないだろう。

目の前に会った光景は、それほど悲惨だった。

(なんだ、あれ。)

何かをぐちゃぐちゃに切りきざんで、またそれをひとまとめにして、

手足を無造作に何本も刺して、とってつけたような羽を生やした、怪物。

それはぐちゃぐちゃと酷い音を立てながら動き、

何本もある手を伸ばしては、人を捕まえて、引きずり出そうとしている。

どうやら力の加減がうまく聞かないようで、ぼきり、めきり、と何かが壊れる音が響いている。

その目は、見たことのある色だ。青い、青い瞳。深い深い海の色。

ぐちゃぐちゃに溶けた、人間の頭部だったはずのものがくっついているそこには、

美しく輝く、自分と同じ、銀灰色の髪の毛。

「あ、あ、あぁ、ああああああ！！」

理解なんて、しなければ良かったのに。

そのバケモノは、両親もその腕で掴んで、屋敷の外へと放り投げた。

使用人たちは、握りつぶされ、壁にたたきつけられ、両親と同じく屋敷の外に放り出された。

耳障りな、ガラスが擦れるような雄たけびを上げ、バケモノは腕を脚を振り回す。

ああ、やめろ。うるさいな。

雄たけびをあげるバケモノに、ヒステリックに喚き散らす姉の姿が重なる。

そんなに醜い姿になってまで、まだ癇癪を起こすのか。

気がつけば、バケモノは最初の一体以外にも、ぞろぞろと出来上がっていた。

ああ、うるさい。うるさい。妹が怖がったらどうするんだ。ああ、うるさい、うるさい、うるさい

「うるさい。」

気がついたら、バケモノに間合いをつめていた。

迷いなく、その瞳に手に持っていたナイフを突き立てる。

ギィィ、と耳障りな鳴き声をあげて、それは霧散した。

「まだ、いる。」

自分はごく自然な気持ちで、ナイフと水鉄砲を持っていた。

端から見れば、なんとも滑稽な組み合わせだろう。水鉄砲ごときで何が出来る。

そんなことも考えられないほど、自分はこの状況に困惑していた。

否、もしかしたら、興奮していたのかもしれない。

もう何でもいいか、と思いながら、自分は水鉄砲を構えた。