遠く 2

89 ページ43

坂｢きしょっ、え、お前顔面やばいって｣





うっかり寝坊した私はメイクをせずにみなさんの元へ

『うるさいです。』

坂｢慎吾朝起きたらこんなやつおるとか可哀想やな｣

『慎吾はそんなこと言ってません』

坂｢これで可愛いとはゆわんかったやろ｣

『あーもううるさいです！』





運悪く勇人さんの隣。
さっきからきしょい、ブス、ばっかゆうてくる。
むかつくけど楽しそうに笑う姿みてたら許してしまう。




『ねえ勇人さん？』

坂｢ん？｣

『スランプからいつ抜け出しますか？』

坂｢すぐ抜け出したる｣

『頼もしい。なら、スランプから抜け出したらご飯行きましょうね。2人で』

坂｢え、このブスと？｣

『うるさっ、ちゃんと顔していきますから！！』

坂｢ならええよ。ちなみにAの奢りやんな？｣

『あー、はいはい。いいですよ。そんな高いところ行けないですけど』

坂｢安いとこで全然いいよ。一緒に行けんのやったら｣

『なにそれ、ブスとは行きたくないってゆうてたくせに』

坂｢冗談やん。スッピンに見えへんぐらい普段と変わらんよ。可愛いよ｣

『感情こもってないです』

坂｢こめとるわ！｣







嬉しいな。
昨日まで勇人さんになんて声かければいいのかわからなかったし、自分から話しかけられなかったから。


前は気さくに話せて、毎日喋ってふざけて慎吾に怒られてってしてたから少し寂しかった。








でも、今の勇人さんに一番大切なのは野球の結果やし、私が変に声かけて変にフォームとか崩れたら嫌やし、野球に集中してもらわれへんくなったら嫌やし我慢してたけど、
毎日あったものがなくなるとやっぱり寂しい






坂｢Aさ、俺に遠慮して話しかけんのやめてたやろ。｣

『邪魔したくないですもん』

坂｢普通に今まで通りしてくれた方がスランプのこと忘れられるし自分らしくおれると思うねんやんか、
やから今日からは今まで通りでおってほしい｣

『…っはい！』

坂｢なんで涙目なん。やのに嬉しそう｣

『だって〜〜。邪魔したらあかんと思って寂しいの我慢してたんですもん〜〜〜！！！』

坂｢可愛ええやつやな｣

『可愛くないです。さっきさんざんぶすって言ってたじゃないですか！』





嬉しいのに涙が溢れてくる。
あ〜〜〜〜やっぱり勇人さん大好きだ。
私には大切な存在。慎吾に怒られても絡みたくなる



石｢あ、俺の泣かせないでくださいよ｣

坂｢うるさい。へこたれてたやつ｣

石｢昨日は昨日です！！｣

90→←88

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す