教科書通信＊Ren.Nagase＊

上、田 ページ10

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彼は何を思って私にリスタートを求めたのかなんて考えるまでもない事だった。仲直りをしたい気持ちはもちろん私にもある。それでも、その気持ち以上に気恥ずかしさが残っているのだ。


狭いロッカーから数ヶ月ぶりに学校外へと持ち出された教科書共が電車の揺れと共に私の肩へと乗っかってくる。


胸ポケットに入れていた携帯が通知を知らせた。
なんだろう、と思い画面を見る。


慌ててそれを開けば、知り合いかもの欄に見慣れた名前があった。



プロフィールをタップすれば彼のアイコンは優太との自撮りで。ホーム画像は何故か田んぼだった。それだけでなく何故かその写真は下に続かずに途切れていた。白い背景に田んぼの写真を貼ったのだろう。
でもなんで上に田んぼだけ────…。


ここまで考えてハッとする。


上に、田んぼ。


いやいやまさか、そんなわけないじゃないか。
そんなわかりきった行動を永瀬がする訳ないじゃない。

言い訳するように、浮かんできた考えを否定するように深呼吸をする。




きっと浮かれていたのだろう。
永瀬にも私と仲直りをしたいという気持ちがあったことを知ったから。永瀬がLINEやってない、と女の子たちに嘘をついて交換することを拒んでいた永瀬から追加が来たのだから。



少し戸惑ったが、折角追加してくれたのを拒否するわけにもいかないしと追加ボタンをタップする。


ついでに未読無視をしていたいくつかのメッセージに返信をしていれば、最寄り駅に着いた。



電車から降り階段へ向かおうと顔を上げると永瀬の目が私の姿を捉えていた。





…あり？？？

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