消毒液 ページ7
木曜日。
今日の3限目は体育だった。
長袖ジャージを身にまといぽけーとグラウンドに立つ。
バレーボールはあまり好きじゃない。
腕に痣を残してまでやろうとは思えない。
試合中はなるべく相手の目につかないように、なるべく味方からパスが来ないように、気配を消して端っこに立つ。
「────Aッ、上！！」
『え…』
上？と思いつつ上を見たらもう遅い。
地面を照らす太陽はボールでほとんど隠れていた。
あ、と思った時にはもう、砂の上に寝っ転がっていた。
＊
「結構いったね…染みるよ」
『いっ…！』
授業後、足を引きずりながら保健室へ向かった。
消毒液を持ついつもは優しい保険の先生が悪魔に見えてしまう。
チラリと膝にある傷を見るとかなり生々しくて思わず目を逸らす。
特有の痛みに顔を顰めながら我慢をしていると誰かが保健室に入ってきた。
「…すみません。ちょっとコケちゃって」
「はーい、おいで」
「…、失礼します」
先生にかなり大きめな絆創膏を貼られていると私の隣に"誰か"が座った。
…違う違う。
永瀬じゃない。めちゃくちゃ永瀬に声が似ててめちゃくちゃ永瀬の匂いに似てるどっかの誰かさんだ。
バクバクと鳴り止まない心臓をどうにか落ち着かせようとしている時、次の授業の始まりを知らせるチャイムが鳴った。
「…あ！っと…えーと、永瀬くん。申し訳ないんだけど消毒自分でやってくれる？？私この後授業あるんだよね…」
「…授業あるんすか？」
「そうそう。消毒液と絆創膏ならここにあるから。ごめんね。」
と言い保健室の扉を閉めた先生。
…そんなことある？？
まあいいや、私も戻ろう。
教室へ向かおうと席を立つと腕を掴まれる。
『…なに？』
「…いや、ちょっと、消毒してくんね？」
『…なんで？』
「ここ、やりずらい」
その場所は確かに自分でやるには難しい場所だった。
どうしたものかと悶々していると私の腕を引っ張り、先程先生が座った椅子へと座らされる。
仕方なく消毒液を手に取り彼の傷を消毒する。
「ん、ありがとな」
『うん、お大事に』
わからなかった。
なんでそんなに優しい顔をしてこちらを見てくるんだろう。
なんで…全て何も無かったかのように話しかけてくるんだろう。
なんだか悔しくて、これ以上彼を見ていると泣いてしまう気がして、逃げ出すように椅子から立った。
それなのに、彼は私を掴んで離さない。
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さくさくぱんだ(プロフ) - 完結おめでとうございます！読み度涙が止まりませんでした…。続編是非読みたいです!!!! (2020年1月3日 5時) (
レス) id: e39a486ce6 (このIDを非表示/違反報告)
ふみか(プロフ) - 完結おめでとうございます。続編本当に待ってます！！！！！！一生のお願い！笑笑 (2019年12月15日 23時) (レス) id: cdb1cf462c (このIDを非表示/違反報告)
yimm(プロフ) - 完結おめでとうございます！afterstoryぜひ読みたいです☆ (2019年12月15日 15時) (レス) id: 72bd3737bf (このIDを非表示/違反報告)
寧々(プロフ) - 思わず一気読みしてしまったんですが、泣いてしまいました(;o;)是非after story読みたいです！ (2019年12月15日 13時) (レス) id: dfd709edb9 (このIDを非表示/違反報告)
ちな - 完結おめでとうございます！最後キュンキュンもしたし、涙も出てきて………時間があるのなら、アフターストーリー読みたいです！楽しみにしています！！ (2019年12月15日 9時) (レス) id: 047315094b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚木 | 作成日時：2019年10月16日 22時
