廉 ページ38
．
『永瀬…？』
「…せやな、またこうやって会えたもんな」
『う、うん？』
「っし、大吾の分も食うで。Aは太るからやめとき。」
「は！？」
『は、待って今なんつった！？私も食べるし！』
「あ、じゃあ食べるなら泊まってって」
「…お、それええやん」
大ちゃんも最後は永瀬の言葉に突っかかったのに、今や急に味方をころっと変えてしまった。
…裏切り者。
『じゃあ食べない。私明日早いもん泊まりたくない』
「どっか行くん？」
『うん。優太と水族館に行くための計画を立てに行く』
ポテチに手を伸ばしながら聞いてきた永瀬に満面の笑みで答えれば永瀬の手は止まり、何故か大ちゃんの手も止まった。
『…え？』
「ゆ、ゆゆ優太って岸優太さん！？」
『な、なんで知ってんの？』
「いや、まぁ、廉から面白い人だーってよく話聞くから？」
『はは、廉優太のこと好きだもんね──あ、』
しまった。大ちゃんからの流れでついつい廉と呼んでしまった。
慌てて口を押えたがあまり効果はなさそうだった。
目の前でケラケラと笑う大ちゃんと奥でうー、と唸る永瀬。
しばらく変な空気を感じていると大ちゃんと私との間に急に永瀬が割り入ってきた。
「てか！なんで優太と水族館行くん？」
『え、と、そういう約束だったから？』
「約束ってなんや」
『順位良かったら水族館連れてってあげるーって』
「…」
『てなわけで、ばいちゃ』
大ちゃんと久々に会えたのは凄く嬉しいけどこれ以上一緒にいたら余計にサヨナラをしたくなくなってしまう。
さっきはドヤ顔で秋元康さんを引用したのにね。
『…じゃ、またね。大ちゃん。』
「…うん、またな。今度は大阪来てや」
『ん、そうする』
「そしたら俺ん家泊まりきてな。廉と」
『永瀬は連れていくかわかんないけど泊まりには行くよ。じゃあ、元気でね』
おばさんにお邪魔しましたーと挨拶をして永瀬家を出た。
もちろんおばさんには泊まっていきなさいと言われたけど明日ちょっと早いから、と言えば優しく笑って解放してくれた。
廉。
私がその名前を躊躇いもなく呼べる日は来るのだろうか。
ここ最近はそれが来て欲しい、なんて自分らしくない想いを抱いているのは自分で1番わかっていた。
私、らしくないよ。
しっかりしてよ。
意味があるかなんてわからないけどばちんと両頬を叩いて自分の家の玄関を開けた。
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さくさくぱんだ(プロフ) - 完結おめでとうございます！読み度涙が止まりませんでした…。続編是非読みたいです!!!! (2020年1月3日 5時) (
レス) id: e39a486ce6 (このIDを非表示/違反報告)
ふみか(プロフ) - 完結おめでとうございます。続編本当に待ってます！！！！！！一生のお願い！笑笑 (2019年12月15日 23時) (レス) id: cdb1cf462c (このIDを非表示/違反報告)
yimm(プロフ) - 完結おめでとうございます！afterstoryぜひ読みたいです☆ (2019年12月15日 15時) (レス) id: 72bd3737bf (このIDを非表示/違反報告)
寧々(プロフ) - 思わず一気読みしてしまったんですが、泣いてしまいました(;o;)是非after story読みたいです！ (2019年12月15日 13時) (レス) id: dfd709edb9 (このIDを非表示/違反報告)
ちな - 完結おめでとうございます！最後キュンキュンもしたし、涙も出てきて………時間があるのなら、アフターストーリー読みたいです！楽しみにしています！！ (2019年12月15日 9時) (レス) id: 047315094b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚木 | 作成日時：2019年10月16日 22時
