「好きやで」 ページ24
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『ごめん、優太に捕まってた』
「何話してたん?」
『何って…メンマの話』
「メンマ?」
『そ。原材料なんだろうなって』
別に嘘はついていない。
ラーメン食べたいね、という話になったので私メンマ嫌いと言ったら俺も!と言ってきて。
メンマって何から出来てるんだろうと確かに今日話したのだ。
結局分からず仕舞いだったのだが。
「で、何になったん?2人の答えは」
『そういう食材かなって。』
「筍やで、あれ」
『筍!?』
「ははっ、やっぱりA変なとこ抜けとるよな。…あ、遊園地好き?」
『うっさいな。遊園地はーー、好きだよ』
「…、そ。ならええわ」
『うん?』
「んじゃまた」
『はーい』
踵を返そうとした時永瀬に腕を掴まれたので振り返る。
彼はわりかし真剣な顔だったので尚更不思議に思った。
『永瀬?』
「好きやで」
『…は』
「俺も、遊園地、好き」
『は、はぁ』
「じゃ」
『…え、?』
呆然と手を振っていると思いっきり後ろからバッグハグをされた。
この匂いとこの勢いは海ちゃんだ。
やれやれと思い私を拘束する腕をやんわりと解く。
『なんですかー』
「今の聞いた!?」
『ん?』
「好きやでって、好きやでって!!」
『遊園地が、でしょ?』
「違うよーあれは愛の告白だよ!」
『遊園地に愛の告白する人いる?』
「もう!Aはわかってない!」
『はいいい?』
「あれは絶対Aへの愛の告白だって、ね??」
『有り得ませんー。ほら、チャイム鳴っちゃう』
「えーー、…ばいばい」
『ふふ、ばいばい』
お弁当を持って自分の席へと移動する優太と途中すれ違う。
そして、頭を叩かれた。
にやにやとこちらを見ていたから何かあるのだろうが脳細胞を殺した罪は重い。
何奢ってもらおう。
じゃがりこかな。最近はジャガビーが好きなんだよな。
昨日に続きまた、私の脳裏に張り付く永瀬の言葉が更新されてしまった。
最初っから遊園地が好きって言ってよ、
期待させるようなこと言わないでよ、
あれが私じゃなかったら確実に永瀬大変なことになるだろう。
忠告しとかなきゃね。
永瀬の言葉に一喜一憂するほど私は乙女ではなかったはずだ。
それでもやっぱり心臓はうるさく音を立てていて。
きっと永瀬に対しての免疫が10年も経ってなくなっただけだ。きっとそうだ。
そう、自分に言い聞かせる他にいい方法は見当たらなかった。
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さくさくぱんだ(プロフ) - 完結おめでとうございます!読み度涙が止まりませんでした…。続編是非読みたいです!!!! (2020年1月3日 5時) (レス) id: e39a486ce6 (このIDを非表示/違反報告)
ふみか(プロフ) - 完結おめでとうございます。続編本当に待ってます!!!!!!一生のお願い!笑笑 (2019年12月15日 23時) (レス) id: cdb1cf462c (このIDを非表示/違反報告)
yimm(プロフ) - 完結おめでとうございます!afterstoryぜひ読みたいです☆ (2019年12月15日 15時) (レス) id: 72bd3737bf (このIDを非表示/違反報告)
寧々(プロフ) - 思わず一気読みしてしまったんですが、泣いてしまいました(;o;)是非after story読みたいです! (2019年12月15日 13時) (レス) id: dfd709edb9 (このIDを非表示/違反報告)
ちな - 完結おめでとうございます!最後キュンキュンもしたし、涙も出てきて………時間があるのなら、アフターストーリー読みたいです!楽しみにしています!! (2019年12月15日 9時) (レス) id: 047315094b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚木 | 作成日時:2019年10月16日 22時