順位 ページ33
テストも無事に終わり答案返却という名の戦場を乗り越えたかと思いきや個票が返ってくる。
浮き沈み激しい者、平然な顔をしてるくせに内心バクバクの者、私は後者だった。
『…さいっあくだ、』
「そんな悪かったの?」
私の学校では出席番号が何故か女子からだった。
まだ個票を渡されていない優太が私のを覗き込むように後ろから覆いかぶさってきた。やめてほしい。
「はっ…よん!?フォー!?」
『いやそんな驚く?え、酷くない?』
「…そういやお前頭良かったわ。てかそれで最悪とか言ったら戦争起きるべ??」
『4まで行くなら3行きたいじゃん?わかる?』
「俺崖っぷちだからわかんね。…あ、真ん中の順位取ればいいんだよな?そしたら奢りだよな?」
前の方に目をやればもうそろそろで優太の番だった。そうだね、と言えば嬉しそうに先生のところへ行った。
奢りたくないけど優太が嬉しそうなのを見るとなんだか世界が平和になる気がする。大袈裟かもしれないけど彼の反応はものすごく分かりやすいので周りにも伝染しやすかった。まあ、つまり私も優太の成績が真ん中であることを望んでいるだ。
「先生、俺開けるよ?見るよ?」
「早くしなさい。後ろ詰まってるから」
「うーわっ、やっぱ無理見れねぇ!」
「岸くん早くー」
先生に俺順位上がってます?とかこれで3になれます?とかグダグダ言ってる間に後ろに並ぶ海ちゃんから不満が零れた。ちぇー、という顔をした優太にクラスのみんなが笑った。私もその中の一人だった。
『アホじゃん』
「うっせ。…見るよ?見かんな?」
ちろ〜と折りたたんである紙を広げた優太。
私に見えないように見るもんだからちょっとイラついた。
「っしゃきたこれ!え!!きた!!!!!」
満面の笑みでそう言いながら私の顔面に個票を押し付けてくる。いや、見えないから、見えない。
重心を後ろにかけてその紙を受け取った。どれどれ、と見るとその順位に驚愕した。
114?まじ?まじ??優太が???まじ????
確かこの学年には二桁目四捨五入で300人いた気がする。
これは、まさか、まさか。
「奢りあざす!!」
『え…』
「え、やっぱなしとか言っちゃう?」
『ううん、言わない。おめでとう』
「ん、せんきゅ」
ハイタッチだろうか、大きな手を翳されたのでそれに向かって思いっきり自分の手のひらを押し付けた。
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さくさくぱんだ(プロフ) - 完結おめでとうございます!読み度涙が止まりませんでした…。続編是非読みたいです!!!! (2020年1月3日 5時) (レス) id: e39a486ce6 (このIDを非表示/違反報告)
ふみか(プロフ) - 完結おめでとうございます。続編本当に待ってます!!!!!!一生のお願い!笑笑 (2019年12月15日 23時) (レス) id: cdb1cf462c (このIDを非表示/違反報告)
yimm(プロフ) - 完結おめでとうございます!afterstoryぜひ読みたいです☆ (2019年12月15日 15時) (レス) id: 72bd3737bf (このIDを非表示/違反報告)
寧々(プロフ) - 思わず一気読みしてしまったんですが、泣いてしまいました(;o;)是非after story読みたいです! (2019年12月15日 13時) (レス) id: dfd709edb9 (このIDを非表示/違反報告)
ちな - 完結おめでとうございます!最後キュンキュンもしたし、涙も出てきて………時間があるのなら、アフターストーリー読みたいです!楽しみにしています!! (2019年12月15日 9時) (レス) id: 047315094b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚木 | 作成日時:2019年10月16日 22時