ち は や ふ る

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『久しぶり、A』



A「な、なななななななんで…」



『なんでって……声、聞きたくての…』



A「へ、」









ちょちょちょちょっと待って。

今電車なのに…



顔が、顔がりんごのように紅潮している。









『携帯変えて全然電話できんかったから…』



A「そ、そっか」



『うん』



A「…」









沈黙が続いた。

でも、その沈黙が心地よかった。









A「ね、新」



『ん？』



A「会いたい」









しまった。


口が滑った。







りんごよりも赤い、梅干し並みにかぁ〜っと熱くなる。









『…うん、会おっさ』



A「…今度の休み、福井行く。だから、だから待ってて」



『ほうか。あ、そろそろ…』



A「うん、じゃあ。」









さっきまでの暖かい声が嘘のようにツー、ツーと何の感情も無い機械音が響く。





頭がぽわ〜としててうまく回らなかった。









ぎこちない会話でも嬉しかった。








駅を出る足取りがすごく軽くて。





ウキウキ気分で玄関の扉を開ける。









A「たーだいま」



「おかえりー！」



A「え、千早！？」



千早「へへっ、おばさんに頼んだら泊まっていいってさ」



A「いや、いいけど…なんで？」



千早「だって久々に会えたんだよ？？泊まりたいじゃん！！」



A「ふーん」



千早「…Aいい事あったでしょー」



A「な、ないし！！」



千早「聞かせゴルァーーーー！」








今この瞬間察した。

今日は絶対、絶対寝れません。






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