ち は や ふ る

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「多分に装飾的な美しさを持つものが選ばれたのも選定の目的が指揮者家だったため─────素晴らしい着眼です！男性歌人79人女性歌人19人。女性の活躍にも私は注目してしまいます。現代の歌からは感じることのできない季節感や奥ゆかしさや言葉の美しさ──…千年の昔からいまなお響いてくる鮮烈で衝撃的な感動をどう表現してよいものやら私はまだ言葉を見つけられずに────…」









ペラペラと喋るおさげの女の子…おさげちゃん。

ただ誰もついていけてません。









千早「う、うん。それで競技かるたは好き？」



「袴は着用しないんですか？」



千早「袴？私は来たことないなぁー。Aはクイーン戦で来てたよね。太一ある？ないよね？」



「どうしてっ！」








どんっと地面に拳を叩きつけたおさげちゃんの声にビクッと肩を震わせる。









「歌あそびは宮廷人のもの。十二単とはいかなくても袴くらいは着るべきでしょう！剣道部だって弓道部だって袴なしでは成り立ちませんよ！」



千早「ど…どうしてだろう。やっぱり高いから？」



太一「着るのが面倒ってのはあるよなー」



「うちは…代々呉服屋なんです…。着物が大好きなのによさをわかってもらいたいのに売れるのは安い浴衣ばかりで..経営も厳しくて来年のカタログのモデルさんも頼めない…」



「袴を着ることがないなら弓道部のほうがよいかもしれません。大変お騒がせしました。」









そう言って涙を流しながら去っていったおさげちゃん。


こ、これは ...









「違うベクトルのかるた好き、だね」



太一「あぁ。おれたちはもう歌として聞いてねーしな。千早は意味もわかんないの多いだろ。あの子は競技かるた向いてないよ」









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