40 〃 ページ41
若利が初めて、焦ったような声を出した。
目が開けない。
太い針が突き刺さるような痛みと耳鳴り。
涙とは違う何かがじわっと広がる感覚がある。
女が再度殴りかかって来そうになったので、
夢中でその顔に爪を立てた。
…試合後、明日にも試合を控えるセッターの指。
爪は勿論綺麗に切り揃えられ、鑢もかかっている。
だから、それほど傷つける力は無かった筈なんだけど。
「きゃああああ！」
左目で女が顔を押さえてうずくまったのが見えた。
“自業自得だ”って、その時は思った。
…思ったけど。
「あーあー…女の顔に傷つけちまったな」
「今の声でもうすぐケーサツ来ると思うけど、どっち信用すると思う？」
後から冷静に考えたら「正当防衛だ」って言ってどうとでも出来たと思うけど、次だ。
次の言葉が、俺の心に深く突き刺さった。
「女に暴行したって、2人将来大丈夫？」
こういうときの男は、いつだって立場が弱いんだ。
若利がそのうち世界に進出しても、俺のこの行為が活動の妨げになる可能性は大。
俺はバレー以外頭が良く回らないから、処理に大分時間がかかった。
「女の子は傷付けちゃいけませんって、親に習わなかったのかな」＿
＿そのうち、路地裏に懐中電灯の光が舞い込んできて、地元の警官らしき人が俺らを見て駆け寄ってきた。
重い左目を開けて後ろを見れば、
男達と女は抜け道から逃げていなくなっている。
「君達、学生かな？名前は？」
『茜、Aです』
牛島「…牛島若利です」
「ああ！バレーの。誰かに殴られたのか？」
言葉に詰まった。俺達のこと、知られてる。
「はい」なんて答えたら、明日の試合に出られない。3年生の春は終わる。
それに、調査が進めば女の人とのトラブルのことも露見するだろう。とにかく、若利の進路の妨害にだけはなりたくなかった。
『ちょっとケンカになりまして。…なあ、若利』
「……………ああ。殴り合ったな」
＿俺がNo.1セッターと呼ばれた理由。
その大半は、目にあると思う。
“まるで相手側のコートまで立体的に見えているようだ”とか、
“彼の視界だけスローモーションなのでは”
とか言われるほどに、俺は目が良かった。
…メガネしてたから視力はそんなだけど。
医者に、失明しなかったのが奇跡だと言われた。
＿“女を傷つけてはならない”
この言葉が、
今でも暗示をかけられたように心に住み着いている。
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夏魚 - 花巻マッキー貴大で吹いたw (2022年3月13日 9時) (
レス) @page15 id: 1abf611fda (このIDを非表示/違反報告)
蟹江(プロフ) - つつきるさん» えーそうなんですか！そんなときは…どうすればいいんでしょう(ﾟωﾟ) (2022年1月1日 23時) (レス) id: fc096b4a64 (このIDを非表示/違反報告)
つつきる - ヤバい俺の名前も茜だ、、。茜茜になったわ（笑） (2021年12月8日 19時) (レス) @page1 id: f14a78fd1c (このIDを非表示/違反報告)
蟹江(プロフ) - 如月さん» まじですかwそ、その人にバレませんように(？)((ﾟ□ﾟ;)) (2020年9月26日 18時) (レス) id: 5573998c0c (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - やべぇマネージャーの名前w知り合いにいるw (2020年9月23日 23時) (レス) id: e103ce8776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蟹江 | 作成日時：2020年5月22日 17時
