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治療 ページ6

退社時間になるのって、意外と早いんだなあ…今日もそう実感した。

事務仕事はどれも単調な事ばかり。
今日は書類の物理的処理を永遠とやる事になって、シュレッダーと午後は睨めっこを繰り返して戦った。
何せ少し古いものだから紙がすぐに詰まったり、電源が突然落ちたりする。それが苛ついて苛ついてしょうがない。

お前が雑なんだと云われれば絶対に否定出来ないのは確かだが…………

兎にも角にも時は意外と早く走っていて、私は楽々に定時の線を越えること出来たのだ。

タイムセールにも楽々に間に会う時間で、悠々とスーパーに向かおうとビルの昇降機の釦を押した。
夕飯は何にしようか、偶には魚でも買って……と考えていると、ずるりずるり包帯がズレていく。

邪魔だ、ぐいっと押し上げても緩くなった包帯は私の努力や苛つきを嘲笑って下にズレる。
しかも夏だから、包帯に覆われた目は蒸れるし汗は掻くし暑いのだ。

与謝野女医の治療に怯えて包帯で隠すことに甘んじていたが、これは………

ずるっとまた包帯がズレた。


※※


「え?妾に目を治して欲しいッて?随分と踏み切ったじゃ無いか」

長袖のワイシャツを二の腕まで捲りあげた与謝野女医は椅子ごとくるりと回って私の顔をまじまじと見上げる。
その顔は微かに歓喜で染まっていた。

『ええ…あの、忙しく無ければお願いしたいのですが』

「妾は医者だよ、忙しくッたッて治療を優先させるさ。もう仕事は上がッたんだろう?今からやッていくかい?」

くいっと顎で刺されたのは、どよんと扉を挟んでも淀んだ空気が流れてくる治療室…否、解剖室。
思わずビクリと肩を揺らした。
刺された事もある、撃たれた事もある。
だが、拷問紛いな解剖はされた事無いのだ。
それにタイムセールもある。

(人間怖いものは、怖い)

『…何の位で治療って出来るんですか』

「一思いに殺るなら三十分か其処らだよ」

『殺るって、遣るじゃないんですね』

「何か間違ッているかい?」

『随分物騒だなと…』

そうかい?と頸を傾げている。
少しそういう意識が普通とズレているのかもしれない。本当に物騒だ。


………三十分か



与謝野女医の顔が明らかに歓喜で染まったのは、私が言葉を発した直後だった。

嫌悪→←好奇心



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しほ - こんばんは。更新楽しみにしています! (2020年9月27日 23時) (レス) id: 9cd3767a9b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新、楽しみにしています。ゆっくり頑張ってください。応援してます。 (2020年9月20日 8時) (レス) id: c803c24e20 (このIDを非表示/違反報告)
BB89 - 更新、楽しみにしています! (2017年3月31日 8時) (レス) id: 49815f1b74 (このIDを非表示/違反報告)
BB89 - 面白いです。 (2017年3月22日 0時) (レス) id: 49815f1b74 (このIDを非表示/違反報告)
- イッキ読みさせていただきました!とっても面白いです!これからもがんばってください (2017年2月24日 22時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒蘭夢 | 作成日時:2017年2月23日 3時

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