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取り調べが終わる頃には、正午をとっくに過ぎていた。
音を立てて開いた軽い扉の向こうには、草臥れた顔の刑事と、太宰さんが何やら密に話をしていたようで、私達が出てきたと同時にぴたりと話がやんだ。

『お待たせしました』

ぺこっと軽く会釈。太宰さんは意外と早かったね、と軽く笑った。

「探偵社に早く戻るぞ。」

国木田さんが思いっきり太宰さんを無視して横を通り過ぎると、鍵がちゃらちゃらと鳴る。
そんなに音鳴る迄がつがつ歩かなくても……あれ、国木田さんの方からこの音はしていない。

「国木田くーん!置いてかないでよっ!」

は、として振り向けば、車の鍵は太宰さんの手の中にすっぽりと収まっていた。
流石元幹部。此の位御手の物なのか、と感心した。
私より一歩二歩遅れて気付いた国木田さんは、顔が真っ青にしてから、夕日の様に真っ赤になって、雷の様な激しい怒号を撒き散らしたのだった。



ーー




「女学校への潜入役を引き受けてくれないか」

飲んでた珈琲を吹き出しそうになった。
時は四時近く。仕事も一段落付き珈琲を淹れる為に立ち上がったところ、社長に呼び止められた。
社長とまともに話したことが無いため、ほんの少しの緊張を持ちながら、ふらりと呼ばれるままに社長室へ行き、今に至る。

『あの、私は調査員ではありませんが…』

「知っている」

雇用契約書見返して欲しい。
知っているなら態々呼び出して、そんな大層な役目を私に任命して欲しくない。
否、知ってるからこそ呼び出したのか。

「以前、爆弾犯を捕らえた時の報告書を見せてもらった。」

行動力と判断力、女性でありながら凶器を持っている男性に立ち向かう勇気、その他諸々を社長直々に誉められてしまった。
悪い気はしない、だが、本当に私がそんな大層な役に嵌れるかどうか分からないのだ。

迷い、視線を下げると、一枚の書類が差し出された。え、と思い顔を上げる。

「今回の作戦では、ダミーとして国木田と太宰を探偵社の調査員として派遣させる予定になっている。志賀は予め、教員と偽り、潜入捜査をして貰いたい」

普通私をダミーに使うべきでは、そんな単純な質問は塵に同じ。
目の前に差し出された書類一枚の方が、余っ程重要だった。



その書類は、事務員から調査員へ、
所謂、人事異動についてのものだった。

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しほ - こんばんは。更新楽しみにしています! (2020年9月27日 23時) (レス) id: 9cd3767a9b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新、楽しみにしています。ゆっくり頑張ってください。応援してます。 (2020年9月20日 8時) (レス) id: c803c24e20 (このIDを非表示/違反報告)
BB89 - 更新、楽しみにしています! (2017年3月31日 8時) (レス) id: 49815f1b74 (このIDを非表示/違反報告)
BB89 - 面白いです。 (2017年3月22日 0時) (レス) id: 49815f1b74 (このIDを非表示/違反報告)
- イッキ読みさせていただきました!とっても面白いです!これからもがんばってください (2017年2月24日 22時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒蘭夢 | 作成日時:2017年2月23日 3時

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