被害者 ページ17
｢ねえ、聞いた？｣
｢え、なになに？また何かあったの？｣
｢隣の組の飯塚さん、行方不明になったんだって｣
｢飯塚さんって黒くて長い髪の子よね？
最近ニュースで流れてる誘拐事件かしら｣
｢皆そうって云ってるのよ、でも、飯塚さんって財閥の娘でしょう？お金目的の犯行の線もあるんですって｣
｢まあ、大変。｣
｢飯塚さんの家は上から下まで大騒ぎ、武装探偵社にも依頼したそうよ｣
｢お早い判断ですこと……武装と云うのだから、野蛮で体格が良い方ばっかなんじゃ無いかしら｣
ひそひそひそ、噂話が人を媒介として広まっていく。女生徒はその媒介者として歩き回り、小さな口から噂を広めた。
あることないこと、時には的を付いた真実までもが噂として浸透する事も屡々。
｢先生方が今朝、武装探偵社の調査員をこの学校にも派遣すると云っていたわ｣
｢私達も疑われていたらどうしましょう｣
｢其れは無いわよ、自意識過剰ねぇ｣
女生徒の声がピタリと止む。
学校のチャイムが休み時間の終わりを告げ、それを聞いた人達は皆多方面に散らばって行った。その女子生徒らもしかり、整えられた髪の毛をふわりと揺らして教室に戻った。
｢被害者は皆黒髪だと、誰も気付いていないのかしら｣
｢世の中阿呆ばっかだから、気付いていないのよ｣
｢それもそうね｣
────────
灰色の外套をハンガーに掛け直して、私は畳の上に寝っ転がった。
溜まりに溜まった有給を使い、今日一日ゆっくりと躰を休める心算だ。
特に疲れた訳では無いのだが、少し根詰め過ぎたのか矢張り疲労は溜まっていた。
立ち上げっぱなしのパソコンの中身を、気怠けに見詰め、今回の誘拐事件の粗筋を考える。
数ヶ月わに渡って探偵社が捜査しているにも関わらず、尻尾の毛も掴めていない。
『今回、行方不明になったのは財閥の一人娘。超の付くほど優等生。人望も厚く、絵に描いた様な生徒会長。』
字面だけでもお腹いっぱいだ。世の中こんな人間も居ることが信じられない。
『月曜日の放課後、迎えに行ったがて学校か出て来ず。不審に思った執事が連絡を取るも音沙汰無し…か』
小さな頃から何も問題起こさずやってきた完璧超人が、急に失踪。
防犯カメラに写った長く、綺麗な黒髪が厭に目に付いてしまう。
(被害者全員、黒髪か)
軍警の被害者リストをさらりと見る、飯塚から始まり、宇井、榎本、加藤、久保、そして
…里見 ��
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しほ - こんばんは。更新楽しみにしています！ (2020年9月27日 23時) (
レス) id: 9cd3767a9b (このIDを非表示/違反報告)
愁(プロフ) - 更新、楽しみにしています。ゆっくり頑張ってください。応援してます。 (2020年9月20日 8時) (レス) id: c803c24e20 (このIDを非表示/違反報告)
ＢＢ８９ - 更新、楽しみにしています！ (2017年3月31日 8時) (レス) id: 49815f1b74 (このIDを非表示/違反報告)
ＢＢ８９ - 面白いです。 (2017年3月22日 0時) (レス) id: 49815f1b74 (このIDを非表示/違反報告)
和 - イッキ読みさせていただきました！とっても面白いです！これからもがんばってください (2017年2月24日 22時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒蘭夢 | 作成日時：2017年2月23日 3時
