しばらく ページ1
恋心と云うものを自覚してから、さとみが私の前へ現れることが無くなった。
電話も繋がらなく、さとみが務めている新聞社に電話を掛けても「只今外出中で……」の一点張り。
三度目からは他の回答を望んだものだ。
その言葉に辟易する。
避けられている訳でもないし、元々そんな頻繁会う仲でも無かったから不思議ではないし、ただタイミングが悪いだけ。
"本当の人間かい?"
(そう、タイミングが悪いだけ)
そう信じてやまない。
ーーーーー
(太宰side)
「国木田くーん?私、ちょー疲れたのだけれど」
「そのお前の云うちょー疲れた、は、ナンパをしまくった事が原因だろう」
某日、軍警と一般市民から、ほぼ同時のタイミングで誘拐事件の依頼を受けた。
目撃情報や監視カメラからの情報は数少なく、ただ分かっているのは覆面を被った男だろう約五人が実行犯と云う事。
手口は人通りの少ない路地、道を尋ねる振りをして睡眠薬が仕込んであるだろう布を、被害者の口に当て、失神させる。
そして黒のバンで逃走。
男女関係なく攫われており、被害者の共通点は不明。
問題は、バンの逃走だ。
以前、警察が誘拐現場を目撃し白バイで追い掛けたところ、曲り角を曲がった瞬間車が消えた。防犯カメラにも、その車が曲がる所が写っていない。
大通り、隠れるところもなし、軍警も異能を疑い探偵社に依頼してきたという訳だ。
「第一、聴き込み調査しても目撃している人自体ほぼ居ないのだから、意味無いんじゃない?」
そろそろ歩くのにもあきた、と文句を零せば国木田くんはぎらっとこちらを睨みつける。
少し疲れているのか殺気も倍増。おー怖い怖い。
「聴き込みは調査の基本だ唐変木。
その減らん口を少しは有効活用したらどうだ」
「だーかーらー無駄だって!!どうせこの誘拐の目的は人身売買か臓器売買だもの。死体も海に上がりゃしないよ」
だからほんと、喫茶店とかで休みたい。
会話の核心に触れず、オブラートに包んで云うと、国木田くんの足がぴたりと止まった。
「…人身売買か臓器売買だと……?」
「え、」
まさか気付いて無かったか。
「お前、何故今迄黙ってた!!!!!!!!!」
「だって国木田くんがそんな莫迦(笑)だと思ってなかったから!!!!!!!」
「殺すぞ!!!!!!」
「り、理不尽過ぎない?!」
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しほ - こんばんは。更新楽しみにしています! (2020年9月27日 23時) (レス) id: 9cd3767a9b (このIDを非表示/違反報告)
愁(プロフ) - 更新、楽しみにしています。ゆっくり頑張ってください。応援してます。 (2020年9月20日 8時) (レス) id: c803c24e20 (このIDを非表示/違反報告)
BB89 - 更新、楽しみにしています! (2017年3月31日 8時) (レス) id: 49815f1b74 (このIDを非表示/違反報告)
BB89 - 面白いです。 (2017年3月22日 0時) (レス) id: 49815f1b74 (このIDを非表示/違反報告)
和 - イッキ読みさせていただきました!とっても面白いです!これからもがんばってください (2017年2月24日 22時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒蘭夢 | 作成日時:2017年2月23日 3時