12 ページ14
あのレッスンから、毎日ダンスの自主練習を
するようになった。
アイドル時代は無表情なキャラクターで
売り出していたためか、踊っている表情が硬い。
笑おうと考えると、梨香子になりきれなくなる。
何度も何度も、映像を梨香子の表情に集中して
見返した。
笑うタイミングも目を伏せるタイミングも
完璧なはずなのに...
「まだ、表情が硬い。 やる気あるのか?
技術だけでファンの心は動かせねえんだけど?」
コーチからは相変わらず表情の指摘が飛ぶ。
どうすればいい...?
表情に苦しめられて時間が溶けていく。
気づけば、残された時間はあと3ヶ月。
あと半分しかない...
焦る気持ちが心の中を埋めていく。
表情... 笑顔... 何が足りない...?
「ダメだ。表情が硬い。これで何度目だ?
お前のせいでメンバーに迷惑かけてるぞ?
今日はもう自主練。」
ついにコーチから愛想をつかされた。
怒りを表すかのように荒々しく扉を閉める音が
スタジオ内に響き渡る。
私、なにやってるんだろう...
重い空気のなか、口を開く。
『申し訳ございませんでした。
私の努力不足でコーチを怒らせてしまって。』
再び流れる沈黙。 すると、深澤さんが
深「Aさ...1回、俺らの前で踊ってみてよ。
それで、解決策だしてこ?」
『えっ? でも...』
深「でもじゃない。 壁にぶちあたったとき、
頼るのが仲間じゃん?」
『...っ、 はい!』
ダンスを見てもらい、どこが良くないのかを
徹底的に洗い出していく。
岩「1番のサビ前、真顔じゃなくて
ちょっと微笑んだほうがいいな。」
目「手先に視線を飛ばすときに、
ちょっと口開けると色っぽくなりますよね。」
阿「うーん... 細かなところは修正できるけど、
根本的な解決にはなってないような....」
そうだよな...
いくら細部を修正したとしても、
これを1曲1曲やっていくのは現実的じゃない。
やっぱり、私の技量じゃ 無理なのかもな...
諦めムードが漂う。
すると突然、佐久間さんが立ち上がる。
佐「なんか雰囲気が重くなってきたにゃー」
渡「おい、ふざけてる場合じゃないだろ...」
佐「佐久間さん、
Aちゃんに 廻廻奇譚 踊って欲しいなー」
佐久間さんが気を利かせて、
雰囲気を変えようとしてるんだ...
なら、その期待に応えるしかない。
『わかりました。
アニメのオープニングサイズでいいですか?』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1235人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柚葉(プロフ) - コメントありがとうございます。褒めて頂きとても嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2023年3月24日 21時) (
レス) id: bea541effa (このIDを非表示/違反報告)
りんごチョコポップコーン(プロフ) - 初コメ失礼します！兄の代わりで…という作品はよく見ますが、妹の代わりというのは新鮮で、思わず開いてしまいました！お話もさくさく読めて、その様子がしっかり想像できました！更新、頑張ってください！ (2023年3月24日 19時) (レス) @page7 id: 61d7d12311 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柚葉 | 作成日時：2023年3月22日 8時
