バラされた正体 ページ38
朝日side
朝日「彼は、黒田家の人間で、側室の子。おそらく三男辺りで、彼の言う兄上は一番上の兄か、藩主だろうね」
日本号「そんなお坊ちゃんがここにいて大丈夫なのか？」
朝日「側室の子。三男。剣技の才があるからここにいるのかも。それかただ単に暴れ者で、手がつけられなくなったからここに追いやられたとかね」
？？「前者が当たりだ。小娘」
外で局長と呼ばれた人物が入ってくる。
局長「私は黒田高次。福岡新撰組の局長だ」
鶴丸「福岡新撰組？」
高次「200年程前、江戸にあった新撰組が各地に在することとなり、今ここに新撰組がある。それを知らぬというのはやはり怪しいな。面妖な姿をしておる者も多い」
この部隊の殆どが洋装だ。
この世界では珍しいだろう。
高次「ん？お主の刀。その者の槍も・・・」
まずいな・・・。
この時代だと、私たちは結構な古物になる。
同じ刀は二つと無いだろう。
高次「何故ここにある？それに、お主らには、何処かで会った気がする。何故じゃ」
ふと鶴丸を見ると口角がにっと上がった。
これはまずいのでは。
高次に刀を見られたことではない。
鶴丸の口角が上がったことだ。
鶴丸「俺たちは刀だ。こことは別の、あちら線から来た。今、ここにいるのは調査のためだ」
太鼓鐘「鶴さん！？」
物吉「言っちゃダメなんじゃ・・・」
石切丸「正気かい？」
日本号「このバカ！」
朝日「頭のネジぶっ飛んでんの？」
鶴丸「おいおい酷いなお前たち」
高次「それは真か？だがそれが真であれば、ここに同じ刀が二つあるのも頷ける」
鶴丸「流石は黒田の人間。朝日と同じで鋭く、頭の回転が速い」
高次「朝日・・・。朝日藤四郎か！？」
こちらを見る高次。
鶴丸「そうだぜ。黒田長政が豊臣秀吉から賜ったあの朝日藤四郎だ」
朝日「このクソ爺！」
鶴丸「そんでその黒くてデカイのが日本号だ」
高次「おお！あの母里太兵衛殿の呑み取りの槍、日本号か！」
私たち二人の縄をほどく。
朝日「良ければ、あの白い奴以外の縄もほどいてもらえないかな」
高次「あぁわかった」
鶴丸「何故俺のは駄目なんだ！」
朝日「ベラベラと喋りやがった仕置きだ」
太鼓鐘「うーわ。鶴さん怒らせた〜」
高次「そなたらは？」
太鼓鐘「俺は太鼓鐘貞宗。伊達政宗が持ってた短刀だぜ！」
物吉「僕は物吉貞宗。徳川家に伝わる脇差です」
石切丸「私は石切丸。御神刀、大太刀だ」
鶴丸「俺は鶴丸国永、太刀だ。なぁ、縄をほどいてくれ」
朝日「ほどくなよ高次」
高次「あ、あぁ」
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作者名：兼さんの耳飾り | 作者ホームページ：http://yuzunoki
作成日時：2023年3月29日 19時
