ブラック本丸潰しの朝日さん (ページ31)

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電話ページ31

朝日side
役人「では充分希望が募れましたので、変則的ですが、部隊を結成します。
第一部隊隊長、鶴丸国永。隊員、太鼓鐘貞宗、物吉貞宗、朝日藤四郎、石切丸、日本号。
第二部隊隊長、加州清光。隊員、愛染国俊、浦島虎徹、一期一振、蛍丸、岩融。
第三部隊隊長、山姥切国広。隊員、薬研藤四郎、にっかり青江、明石国行、次郎太刀、御手杵。
出陣先は、第一部隊、福岡。第二部隊、甲府。第三部隊、小田原。
出陣は一時間後です」

あちら線に出陣すると、こちらに戻ってこられなくなるかもしれない。
思い残すことは無いようにしよう。
そして私は、端末を取り出した。

朝日「もしもし？」
長谷部「朝日か。何の用だ」
本丸に電話を掛けると長谷部が出た。
朝日「少年いる？代わってほしいんだけど」
長谷部「別にいいが」
暫くして少年がやって来て電話を代わった。
主「朝日、どうしました？」
朝日「これからね、少し危険な所に出陣することになったの。帰れなくなるかもしれないから、今のうちに伝えておきたいことがあって・・・」
主「帰れなくなるかもしれないって、どういうことですか」
朝日「今は言えない。極秘任務だからね」
主「・・・」
朝日「私ね、本当にきみと出会えてよかったと思ってる。また私に、人の温もりを教えてくれてありがとう。生きたいと思わせてくれてありがとう。もし、出陣から帰ってくることができたら、また『おかえり』って言ってくれる？」
ズズッと鼻を啜る音が聞こえた。
主「当たり前ですっ！」
朝日「何日、何週間、何ヵ月、それより長く帰ってこれなくても？」
主「勿論です！朝日は僕の大切な家族ですから！」

『おかえり朝日！私の大切な家族！』

私が修行から帰ってきた日の事を思い出す。
あの日も主は、いつもと変わらない笑顔で迎えてくれた。
きっとこの子も、笑顔で迎えてくれるのだろう。
朝日「ありがとう。約束だからね？・・・行ってきます」
主「行ってらっしゃい！」
朝日「行ってきます」
電話を切った。
あぁ。やっと言えたよ。
『ありがとう』を少年に。
ずっと言いたかった言葉。
鶴丸「別れの言葉かい？」
近くに鶴丸がいた。
私たちの会話を聞いていたのかな？
立ち聞きとは行儀の悪い。
朝日「違うよ」
鶴丸「じゃあ何だ？」
朝日「行ってきます、だよ」
鶴丸「ははっ。そうか」
これでもう、思い残すことは何も無い。