79 気をつけるんだよ ページ30
「ええ〜何でAじゃないの? 僕、Aと任務に行きたい」
「Aさんはまだ新人です。五条さんの任務に同行できるレベルではありません」
今日も伊地知と遠出の任務。
いつになったら、Aとラブラブ任務に行けるんだ。
「悟。伊地知くんを困らせないの。任務、気をつけてね」
「Aこそ、僕が帰ってくるまで十分気をつけるんだよ」
「うん…悟の立場を悪くすることはしない。大丈夫」
「…そういう意味じゃねぇっつーの…」
Aは全然分かってない。
周りの補助監督達(♂)が、Aをどんな目で見てるのか。
傑…オマエのせいだぞ。クソッ…
Aをこんなに魅惑的にしやがって…
補助監督に推薦したの、間違いだったかもしれねぇ。
これじゃあ、疚しい狼の群れに可愛い兎を放り込んだも同然だ。
とりあえず、
心配すぎる。
さっさと任務を終わらせて即行で帰ってこよう。
*
「Aさん」
「はい?」
「お昼、一緒にどうですか?」
「ごめんなさい。私まだ仕事が…」
「いやいや…ご飯を食べる時間くらいあるでしょう? さぁ行きましょう」
「え、ちょっと! 離してください!」
強引な補助監督さんだな…名前何だっけ?
まぁ、ご飯を食べるくらいいっか。
悪いことをする訳じゃないから、悟の迷惑にはならないし。
仕事は後で挽回すれば…
手を引かれたまま外を足早に歩く。
この人…女性の扱いがなってない…
歩幅を合わせてくれないどころか、自分のペースで進んでいくから私、若干小走りなんだけど!
はぁ…
傑と悟がハイスペックだったと、今更ながら実感する。
あの二人なら、こんな強引に自分のペースで進んだりしないもの。
いつも私を気遣って合わせてくれる…
「…ふふ…私…凄い贅沢だ…」
「いいですね! 贅沢なランチしに行きましょう!」
「あ、いえ…普通で大丈ぶっ…!?」
突然、前を歩く補助監督の足が止まり、背に隠される形で手を引かれて、おもいっきり彼の背中に鼻をぶつけた。
ちょっと! 一体何なの!?
「おい。これ、どういう状況?」
「え、悟?」
補助監督の肩越しに覗くと、目隠し姿の悟が腕を組み、行く手を塞いでいた。
「五条さん!? 任務は!?」
声を裏返して怯えた補助監督が、私の手を振り払うように放す。
もう! 乱暴なんだから…っ!!
「あ?…んなのもう終わったよ。俺にとっては1級も特級も雑魚だからな」
「さ、さすがです!」
「それより、Aをどこに連れて行くつもりだよ」
「いえ…どこにも…あはは…」
目隠しを下ろした悟。
綺麗な瞳の圧が凄い…
怖っ…!!
*
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作者名:ゆずあ | 作成日時:2022年12月24日 9時