8 マジでヤバい。 ページ8
「私…悟さまが好きです……凄く、好き……」
このタイミングで!?
マジで! 何してんだよコイツ!!
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい──ッ!!
後ろから抱きつかれている状態で、んなこと言われたら…
「お、俺だって……好きだし……っ!!」
「…はい…嬉しいです…ずっとお傍に居させてくださいね…」
かっ…可愛すぎか…ッ!!
マジでヤバい。
このままここで押し倒してぇ…
けど、その衝動はどうにか抑え込む。
とにかく今は家に帰って、Aの話を聞かねぇと。
「とにかく! 帰るぞ!」
「はい」
抱きしめているAの腕を優しくほどいて手を握り、導くように引き寄せて足早に帰路に着く。
既に身体中が火照り始め、Aの華奢で柔かな手を握っていると余計に下半身に集まる熱をいなしながら、
駅に辿り着くと、
「悟様、お迎えに上がりました」
春日が停車した車の横で恭しく頭を下げた。
さすが、仕事の出来る執事は違うな。
「A、乗って」
「はい…」
「春日、なるはやで」
「承知致しました」
短い
春日に至っては、こちらの事情を察したように口元を緩めていた。
実際、俺の態度や声色で何かを察知しているんだろう。
口に出さずとも、俺の意思や意図を汲んでくれる春日には、これからも俺とAの執事として働いてもらうことになっている。
「悟様。夏油様もお送りしようと車を用意していたのですが、寄り道したいとの事でお断りいただいております」
「はぁ…分かった。傑のことは俺が何とかする」
「はい、よろしくお願い致します」
そんな会話を交わしながら、隣に座るAの手をもう一度握った。
柔らかな感触が気持ちいい。ずっと触れていたい。
そう思っていたら、Aからもキュッと握り返されて、心臓がドクンと波打った。
はああぁぁぁ……抱きてぇ……
多分この感じだと、Aの身体はどこを触っても柔らかくて抱き心地も触り心地も良いに決まってる。
溜まりに溜まり抑え込んでいた情欲が、腹の奥で火種を起こし燻り始めた。
これはマジで…今日こそ放してやれねぇかも…
「あれ!? もしかして悟さま、ご飯まだですか!?」
「は? あぁ、まだ何も食ってね──」
「──ダメですよ! ちゃんと食べなきゃ! 春日さん急いでください!」
「いや俺は平気──」
「──はい、もちろんです。お食事の準備も整えてありますからご安心を」
「…よかった…」
こうしていつも通り、いい雰囲気ぶち壊しなAに苦笑しつつ、募る想いは日々増していた。
*
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作者名:ゆずあ | 作成日時:2023年12月24日 18時