3 悪魔の微笑み ページ3
最近の学生の男の子って皆こうなの?
こちらの多少の喜怒哀楽では、傑くんは動じない。
悟さまは私の一挙手一投足に結構あたふたするから、余計に傑くんの冷静な大人感が目立って見える。
油断していたら彼の術中にハマって、まんまと丸め込まれ、簡単に本音を引き出されてしまうんだ。
その辺の男女の駆け引きに関しては、悟さまの方が純粋で年相応な反応をするから、こちらもまだ返し方のやりようがあるのだけれど…
「これから食事しながら、少し話しませんか?」
「…でも…今日は真っ直ぐ帰るって、悟さまに言ってあるから…」
「あ、悟の許可はもらってるのでご心配なく」
「ええっ!?」
独占欲の塊の悟さまが、傑くんと二人で食事に行くことを許したの!?
昨夜だって…
リビングのソファーで傑くんのメッセージに返信していたら、
『いつも傑と何の話してんだよ?』
って、不機嫌に聞いてきた、あの悟さまが…?
「お店、予約してあるので行きましょうか」
「予約? 傑くんが?」
「
「…そう…だね…」
歪んだ思考の究極フェミニズム炸裂。
でも、この歳でこの気遣い。やるな…
「傑くん、モテるでしょ」
「それは、まぁ……でも、好きな人にモテないなら意味ないけどね」
「…好きな…ひと…?」
「Aさんこそ、罪なことするよね」
「…っ」
傑くんは…一応、元カレというか…
たった数日だけど、正式に付き合っていたという事実がある。
傑くんには悪いけれど正直、私は悟さまを忘れるために傑くんに甘えて利用しただけで、傑くんも悟さまのために茶番を演じていたと思っていた。
なのに…
「私の気持ち…あなたへの想いを知っているのに、こうして知らないふりをして弄んでいるんだから」
「そんなつもりじゃ…」
「うん、知ってる」
くっ…弄んでるのはどっち!?
ダメだ。
傑くんの言うこと本気で受け止めたら、どつぼにハマる。
でも…
「Aさんを好きなことは本当だからね。別に悟から略奪しようとまでは思っていないけど」
「…傑くん…」
少し悲し気な微笑みに、それが本音だということが分かる。
ほんと、ずるい。
悟さまと婚約している身でありながら、うっかり絆されてしまいそうになるんだから。
「あなたと悟が幸せなら、それで良いんだ」
傑くんに傾く気持ちに追い打ちをかける言葉は、そっくりそのまま返したい。
今の私と悟さまが在るのは、傑くんの全面協力があったからなのだから。
「だから代わりにご褒美を貰ったんだよ」
前を歩く悪魔が怪しげに微笑んだ。
*
150人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆずあ | 作成日時:2023年12月24日 18時