2 待ち伏せ ページ2
「…はぁ…」
会社のセキュリティーカードを手にゲート直前で、めちゃくちゃ深いため息が出た。
ﾋﾟｯ…という機械音を確認してゲートを通過し、帰路につく。
昨夜も悟さまを拒んでしまった…
罪悪感と、それで良いんだという想いが葛藤する。
だって、18歳になったとはいえ、悟さまはまだ学生。
基本的にはさ、そういう関係になってはいけないでしょ？
それに…
夏油 傑Aさん、もしかして経験ないとか…?
A傑くんのバカ!!😭
夏油 傑あぁごめん。からかってるんじゃないよ
Aじゃあなに?
夏油 傑……いや……
Aなに!?💢
夏油 傑…悟が…羨ましいなぁと思って…
Aやっぱりからかってんじゃん! もう寝る!!👹
夏油 傑うん、おやすみ
昨夜の傑くんからのメッセージ。
スマホの向こうに笑いを堪えている傑くんが見えた。
ってゆうか、何やってんの私…
悟さまの親友の男の子に勘づかれるなんて…不覚。
傑くんも、その本題に持っていくのが上手かったし、完全に流された。
初めはただの世間話と雑談だったのに…
思いに
「お疲れさま、Aさん」
聞き憶えのある色香を孕んだ穏やかな声に呼び止められ、俯きがちだった顔と視線を反射的に上げる。
そこには予想通り、個性的かつ特徴的な前髪を一束垂らした切れ長の目を持つ塩顔イケメンの男の子がいた。
どうやら高専から、わざわざここに来たらしい。
私服姿、あいかわらずシンプルでセンスいいな。
「傑くん…なんで…」
「Aさんに会いに来たんだ」
彼のことを何も知らなければ、この爽やかな笑顔に
けど、相手は策士・夏油傑。
ひとつも気を緩められない。
…って、傑くんがここに居るってことは…ッ
「大丈夫。私、ひとりだよ」
キョロキョロと視線を回す私に、ふっ…と微笑んだ傑くんが知りたかった答えをくれる。
悟さまと傑くんは一緒に任務に就くことが多いと聞いたから、今この場に悟さまも居るのかと思い、身構えてしまったのを傑くんが察した結果だった。
「勘、良すぎない？」
「え？ Aさんが分かり易いだけだよ」
心外というように目を見張って即答され、ムスッ…という効果音はないけれど、お望み通り分かり易く不満の想いを顔に出すと、更にハハッ…と破顔し、無邪気に笑われた。
…はああぁぁ…女の子慣れが過ぎる…
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 150人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆずあ | 作成日時：2023年12月24日 18時
