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1 拒絶 ページ1

間接照明の柔らかな薄明かりに照らされたリビング。


「…ん…ふッ…」


潜めた息づかいに漏れ零れる吐息。


「…はッ…ん…」


自分の息継ぎまで艶かしく聴こえる。


「…ぅんん…悟、さま…ッ」


キスの合間に名前を呼ばれ、唇を僅かに解放。

少し動けば、また重なる距離だ。


「…これ以上は…」

「…まだ足りねぇ…」


抱いていた腰から下の丸みへ手のひらをそっと滑らせると…


「!?…ッあのっ私、明日! 仕事、仕事朝が早い、ので…ッ」


しどろもどろ捲し立て、真っ赤な顔で少し緩めた俺の腕の中からするりと抜け出したAは、小走りにリビングを出ていった。


「…んだよ…クソッ…」


髪が乱れ逆立つほど片手で頭をガシガシ擦って、湧き上がった淫らな欲と、既に溢れまくっている想いを抑え込んだ。

心地良い温もりが逃げて、心も身体も急激に冷えていく。

冷静になったところで改めて考えてみても、拒まれる理由が見つからない。


一度は手放したAを、この手に取り戻し正室にと決めてから二年。

あの日からずっとこんな感じで俺は…

キスのその先に進むことを阻まれていた。













「…はぁ…」


ホームルームまでまだ時間がある教室で、席に座って盛大なため息を吐き出し、そのまま机に突っ伏した。

あからさまなんだよ、避け方が。

そういうのを器用に出来るヤツじゃないって、何年も傍に居たから分かっていても、ショックなことに変わりはない。

恋人…しかも婚約者という関係で拒否られるとか…意味分かんねぇ。

少しだけ顔を持ち上げて、手のひらを見つめた。


「…もっと触りてぇ…直で…」


無意識に、口から音を出して零れ落ちた本音。

そんな呟きを聞き逃さない親友が隣に座っていた。


「朝からセクハラ発言はやめてくれ、悟」


優等生よろしく、目線を落として読んでいた小説から視線を外した傑が、苛つく正論顔で咎めてくる。

何でたった一言だけで、俺が考えてることが何か分かるんだよこいつは。


「セクハラじゃねぇ。恋人として当然の主張だ」

「それはそうか」

「俺の何がダメだっての…?」

「いや…悟じゃなくて、Aさんの方なんじゃないか? 問題を抱えているのは」

「…何で、そう思うんだよ…」


からかいや冷やかしを含んだ満面の笑みを浮かべた傑は、


「知りたい?」


本を閉じて、訳知り顔のドヤ顔で身体ごとこちらへ向き直り、足を組んだ。

ほんとムカつく。

前髪の先を呪力で強化して目ん玉に刺してやりてぇ…


「じゃあ、ヒント」

「いや、答えを教えろよ!」

「経験の数」

「…は?」


経験の数ぅ…?

全っ然! わっかんねぇ…ッ!!


*

2 待ち伏せ→



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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟 , 夏油傑   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:ゆずあ | 作成日時:2023年12月24日 18時

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