49 新たな任務〈憂太side〉 ページ49
おでこ出てる人が好き。
Aちゃんの答えに、僕の脳裏には真っ先に狗巻くんが浮かんだ。
彼は口元を隠してはいるけれど、顔も性格もかなりの美形。
会話がおにぎりの具しかないってところだけが、唯一困るところ。
けれど狗巻くんは、Aちゃんが好きだと言う『おでこ』が全開だ。
非常にまずい…
Aちゃんの心が狗巻くんに奪われる前に、狗巻くんに髪型を変えてもらわないと…ッ!
「憂太、大丈夫? やっぱり凄く疲れてるんじゃない? お部屋で休んだ方が――」
「――平気だよ…今少し眠ったし…」
「そお? でも、無理して私に付き合わなくてもいいんだよ?」
「うん…でも、Aちゃんと少しでも一緒に居たいんだ」
笑顔を浮かべて本音を伝えると、途端に頬を染めるAちゃんが可愛すぎる。
ダメだ。絶対に狗巻くんに髪型を変えてもらおう。
「おっ待たせ〜授業始めるよ〜」
何とも気の抜けた声がガランとした教室に響き渡る。
当然のように7分遅れてきた五条先生は、僕とAちゃんを纏う甘酸っぱい雰囲気に口元を緩めた。
*
Aちゃんの高校での長期任務と後始末を終えて、久しぶりに高専の寮で朝を迎えた。
昨夜の任務の報告書を書くため、少し早めに教室に向かっていると…
「憂太〜おはよ〜」
「五条先生、おはようございます」
出張朝帰りの五条先生が後ろから現れた。
いつも突然現れるなぁ。
五条先生ほどの強くて膨大な呪力、気配すら勘づかせないのは流石としか言いようがない。
「長期任務成功、おめでとう!」
「五条先生のおかげですよ」
「何言ってんの。憂太の実力実力! おまけに可愛い彼女まで作っちゃってさ〜羨ましいぃ〜♪」
今回の任務、絶対色々、五条先生が手回ししていたに違いないけど、先生はそれを隠し通すつもりらしい。
それが“教師”ってものなのかな…?
「てな訳で〜はい! 新しい任務だよ♪」
「へ…?」
手渡された
『呪霊を悪用する呪詛師集団を討伐せよ』
「先生、これは…」
「ここからちょーっと離れた地方でさ、非術師をわざと呪霊に襲わせて助けては私腹を肥やしてる呪詛師集団がいんの。そいつらを捕まえるか葬るかしてきて欲しいんだ」
「葬る…」
呪詛師か…
非術師を困らせているなら、社会的に生かしておく理由はない。
それが僕達、呪術師の仕事だ。
「もちろん利用されてる呪霊も祓ってくること。1級って話だから、憂太なら簡単に祓えるよ」
「分かりました…」
またしばらく、同期の皆とAちゃんに逢えない事が決定した。
*
作者より《続編のご案内》→←48 うたた寝〈憂太&貴女side〉
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作者名:ゆずあ | 作成日時:2022年3月6日 22時