39 雑貨屋⇒カフェ〈貴女&憂太side〉 ページ39
雑貨屋に入った途端、憂太の存在を完全に忘れて店内を歩き回った。
ディスプレイも商品も全てが可愛くて、お店ごと大人買いしたい。
「ありがとうございました〜♪」
「うぅっ…今度はお金ある時に来よう」
背中にかけられる店員さんの満面の笑みと感謝の言葉に申し訳なく思いながら、結局何も買わずにお店を出た。
「Aちゃん、お腹すかない?」
「あ、そういえば…」
実は、授業の時間は毎週決まっている訳じゃない。
五条先生の都合に、かなり左右される。
それで、毎週金曜日に五条先生から、交換したメッセージアプリで授業の時間を送ってもらうことになっていた。
忙しいと言う割に五条先生は、毎週金曜日の17時に欠かさず連絡をくれる。
ルーズな雰囲気に似合わず、そこは律儀って言うか、ちゃんと先生なんだなぁと思う。
とにかく、今日は授業がお昼時真っ只中で、まだご飯を食べていなかったから指摘されて空腹感が増した。
「あ、あのカフェはどう?」
「いいね、行こう!」
私好みの雰囲気のお店を指差した憂太と並んで歩き、カフェの扉を開いた。
【憂太side】
雑貨屋に入った瞬間、瞳をキラキラ輝かせたAちゃんは、完全に僕の存在を忘れたみたいだ。
僕を置き去りに、思いのままに店内を歩いて気になった雑貨を手にしては微笑んでいる。
…可愛い……眩しい…
Aちゃんを見ているだけで、僕も自然と笑顔になれる。
ふと視線を落とした先に、煌めくブレスレットがあった。
ハートのチャームが付いていて、ハートの中には宝石をあしらった飾りがはめられている。
「これ、Aちゃんの雰囲気そのものだ」
Aちゃんの様子を窺うと、僕には目もくれず次々と雑貨を手にしては楽しんでいる。
Aちゃんに似合いそうなブレスレットを手に取り…
「これ買うの彼女に内緒にしたいんで、さりげなく会計をお願いします」
お金を渡しつつ小声で店員さんにお願いすると、無言でにっこりと微笑んで会計とラッピングをしてくれた。
女の子にプレゼントするの、人生初で凄くドキドキする。
ってゆうか、勝手に買っちゃったけど、Aちゃんに好みとかちゃんと聞いた方が良かったかな…?
気に入ってもらえなかったらどうしよう…
いらないとか言われたらかなりショックだ…
今更モヤモヤと不安が押し寄せる。
唐突な緊張で急激に喉が渇いてきた。
「Aちゃん、お腹すかない?」
「あ、そういえば…」
喉を潤そうと、Aちゃんの好きそうなカフェが目に入り誘ってみたら…
華やかな笑顔に心臓をギュッと掴まれた。
*
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作者名:ゆずあ | 作成日時:2022年3月6日 22時