26 保留!?〈憂太side〉 ページ26
「私が呪術のことちゃんと理解するまで、付き合うとかそういうのは保留にしたいの」
「え!? なんで!?」
高専のクリニックに隣接する入院施設で1週間、療養中のAちゃんを訪ね始めて3日目。
そう告げられて即座に受け入れられなかった。
お互いに好きで想い合っていたら付き合うものだと、自然と恋人になれるものだと思っていたけど間違いだったらしい。
僕の恋愛経験は里香ちゃんしかいないから、そういう女の子の感情も感覚も分からないんだ。
「ほ、ほら!
「そりゃあ…真希さんは高専の生徒だからね…?」
それに何故かAちゃんは、真希さんの目を気にしているっぽい。
「真希さん、Aちゃんに何か言った?」
「は…? 会ったこともない奴に何を言うってんだよ」
Aちゃんが入院で学校を休む間、僕も高専で過ごすことにした。
日課だった真希さんとの近接戦闘訓練の後、一息つきがてらAちゃんについて聞いてみると、当然の答えが返ってくる。
そうだよね。僕、紹介してないし。
だったらどうして、Aちゃんは真希さんのこと…
「真希さん、僕がAちゃんと一緒に居るのが気に入らなかったりする?」
「はぁあ!? 別にっ…お前が誰とどうなろうが私には関係ねぇ。禪院家を見返してぶっ潰すっつーのが、私が
「だよね…」
「んで? お前は何をウジウジ悩んでんだよ。うぜー…」
真希さんの指摘に苦笑いが零れる。
僕の欠点をはっきりと言葉にして
「いや…付き合ってもないのに抱きしめたりキスしたり…って、しちゃダメだよなぁ…と思って…」
「……。両想いじゃなきゃ犯罪だな」
「だよね…」
Aちゃんが僕の事をどう思っているか…
本当のところは分からないもんなぁ。
昨日、キスを拒まれなかったから嫌われてはいないと思うけど…
困った…
意識すると余計に、凄くAちゃんに触れたくなる…
僕を見て欲しいと、キスで振り向かせたくなる…
何だかお腹の奥の方がモヤモヤして…
「これって、僕がおかしいのかな…」
「いんや、至って健全な男子高校生って感じだよ」
時々、一人言を漏らしながら廊下を歩いていると、背後から明るい声が降りかかる。
振り返れば、そこには出張帰りの五条先生がニコニコして「や!」っと片手を挙げて立っていた。
「五条先生!?」
「いいね青春♪ 恋せよ男子!」
あれ? 僕、もしかして今、声に出てた!?
*
27 好みのタイプ〈憂太side〉→←25 傍にいて欲しい〈憂太side〉
244人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆずあ | 作成日時:2022年3月6日 22時