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24 身勝手な苛立ち〈憂太side〉 ページ24

Aちゃんが他の男とキスをしたとか…

凄くムカつく。

こんな感情、初めてだ。

里香ちゃんにも抱いたことがない。

苛つきで身体中を廻る呪力が乱れているのが分かる。

今はそれを抑え込むので精一杯。

Aちゃんの唇を無理矢理奪うことで、心の平静を取り戻せる気がした。

Aちゃんに触れていいのは自分だけだという、制御不能な独占欲からくる身勝手な行為…

の途中、


「…っごめん!」


突然我に返って、Aちゃんに押し付けていた唇を離した。

見下ろした先には…


「…はぁ…ハァ…ゆ…ぅた…」


薄く染まった頬。切な気に眉尻を下げて潤んだ瞳。

僕の胸に両手で掴まるAちゃんから、漏れる吐息とともに名前を呼ばれて、体内の何かが疼く。

ダメだ。余計に鼓動が重くなって下腹部に熱が集まる。

理性、理性! 理性を総動員しろ!

いや、それより別の事を考えるんだ!

疚しい衝動を抑え込む別のどうでもいい何か…を…


「憂太…何か…怒ってる…?」


不意に、視界の先からの息も絶え絶え告げられた小さな問いかけ。

涙目で見上げてくるAちゃんが可愛すぎて、無理矢理欲を抑え込んだらめまいに襲われた。


「…はぁ…」


とにかく冷静になろうと、深いため息をひとつ。

そうだ。怒ってるよ。腹が立って仕方ないんだ。

それを収めることが出来るのは、きっとAちゃんだけ。


「怒ってるよ。ムカついて仕方ない」


Aちゃんに頼られて、選ばれたいって思ってる。

無条件で傍に居る権利が欲しいって思ってる。

けど…

窮地に身を置く経験をした今も、Aちゃんはそんな素振り微塵も見せないから…

挙げ句、あの最低な男達にキスを許したとか言われたら、苛立ちが理性を簡単に吹き飛ばした。


「Aちゃんに近づく奴も、触れた奴もキスした奴も全員、この刀で切り刻みたいくらいにはムカついてるよ」

「…どう…して…?」

「どうしてって…ッ…」


ここまで言っても気づかない!?

若干我を忘れたとは言え、キスまでしたのに…!

想いに気づいてもらえないもどかしさが苛立ちに変わり、ついさっきの強引で身勝手な自分の行為は棚上げして、Aちゃんへと向かう言葉に棘を含ませた。


「大体さ、彼氏でもない好きでもない男の誘いに、何で簡単に乗ったんだよ!」


僕達の年頃の男が、女の子に対して何に比重を置いて考えているかなんて、Aちゃんは本当の意味では分かっていない。

その上…


「だって…あの人だけだと思ったし…面識あったし…」


警戒心のない曖昧なままの無防備さに、更に腹が立った。


*

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設定タグ:呪術廻戦 , 乙骨憂太   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:ゆずあ | 作成日時:2022年3月6日 22時

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