3 呼び出し ページ3
昼休み。
昼食の後、乙骨憂太に校内をザックリと案内した。
「わぁ、普通の高校だぁ…」
と、なぜか感嘆の声を上げていたけど、ほんと意味不明。
案内の途中、ずっと『乙骨くん』と呼んでいた私に、
「憂太でいいよ、みんなそう呼ぶから」
癒しの照れ笑いで告げられて、私まで赤面した。
じゃあ遠慮なく…
それから私のことも苗字じゃなく下の名前で呼んでもらうことにした。
その方が公平だし。そう言ったら…
「ありがとう、Aちゃん」
初めて男子に“ちゃん”付けで呼ばれて、またしても顔に熱が集まった。
そんなこんなで、隣の席の私の任務はひとまず終了。
何だか珍しく良い気分で帰れそうな気がした。
なのに、その日の放課後。
突然LINEで呼び出された、生徒の減少により使われていない『空き教室』のひとつ。
ガラガラと扉を開けて中で待っていた人物に、冷たい視線と不機嫌な低い声を投げつけた。
「何の用? あんたとはもう終わったはずだけど…」
呼び出してきたのは、先週別れを告げた元カレ。
無視しても良かったんだけど、彼の性格上、後の事を考えると面倒な事態になりそうだったので、こうして話を聞くことにした。
付き合っていた期間は1ヶ月程度。
やたら嫉妬心が強くて、クラスメイトの男子と挨拶を交わすことすら許せないらしく、いつもイライラして私を責め立てた。
私、器の小さい男って嫌いなのよね。
1ヶ月、愛されている自覚があったから何とか耐えたけど、先週ついに限界を迎えて『別れたい』と伝え、彼も納得した返事をしていたのに…
目の前の彼から流れてくる雰囲気と視線には、グツグツと煮えたぎるような熱が感じられた。
「俺…やっぱりお前と別れたくない」
「いや、既に別れたでしょ。もう終わったの」
「もう一回、チャンスをくれないか!?」
「無理よ。私、あんたのこと好きになれないから。諦めて」
「そんな事言うなよ! 俺…ッ」
そう言って近づいた彼に無理矢理抱きしめられる。
「ちょっと! 離して!」
「嫌だ! OKするまで離さない!」
何て理不尽な取引き!?
ってゆうか、強引にキスしてきてるし!!
「やだ! やめてよ!!」
「…っ」
全力で抵抗して逃れたと思ったら、腕を掴まれて机に上半身を押し倒された。
待って、この体勢はマズイ…ッ
「だったら…ここで…Aが俺のものだって、分かるまで抱き潰す」
「は…? 何言ってんの…?」
冗談でしょ!?
でもここは校内の喧騒から、かなり離れた場所にある教室で、人気はなく誰かが通りかかることもない。
まさか、詰み!?
*
245人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆずあ | 作成日時:2022年3月6日 22時