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19 途切れた呪力〈憂太side〉 ページ19

――プツン…

「え…」


駅前に着いた途端、Aちゃんの呪力が不自然に消えた。


「嘘だろ…何で…ッ」


慌ててその場で意識を集中させて、Aちゃんの呪力の残穢を探る。

Aちゃんは非術師だけど、無意識に残す呪力が僅かにあるはずだ。

落ち着け。大丈夫。見つけられる。


――憂…太…

「…Aちゃん…?」


彼女の意識下からの声が聴こえた。

珍しい現象だけど、今みたいに呪力を辿っている場合、あり得ない事じゃない。

助けを求める声音…何かあった…?


「どうしよう…Aちゃんの連絡先…」


先日、交換したばかりのLINEを開いて、文字を打ち込んだ。


《Aちゃん、今どこ?》

――ブワッ…!!
《どうしたの? 今は彼氏と一緒だよ》


Aちゃんのスマホから感じた呪力が、すぐに返ってきたメッセージとともに、僕のスマホからも湧き上がった。


「まずい…早く見つけないと…ッ」


焦れば焦るほど集中力を欠いて、Aちゃんの呪力を感じる事が出来ない。

何度挑戦しても同じで…

どうしたら…ッ


『何かあったらすぐ連絡すること、いいね?』


そうだ、先生!!

スマホ画面に五条先生の連絡先を出して、受話器マークを勢いよくタップする。

いつも通り、3回目の呼び出し音で繋がり、


「先生! 僕どうしたらいいか…ッ」


先生が話し始める前に呼びかけた。


「憂太、落ち着いて。何があったの?」


慌てふためく僕とは対照的に、先生のあまりにも穏やかでゆったりとした声音が、僕に落ち着きを取り戻させる。

五条先生って何かに焦ったりすることあるのかな…

一緒に焦って慌てられても困るけど。

冷静に状況説明をするために一度、深呼吸をした。


「Aちゃんの呪力が、さっき突然消えたんです。彼女を呼び出した相手の呪力はスマホの着信から感じ取れたんですが…」

「そっか。じゃあ、簡単だね」

「えっ!?」


今の説明から、どこがどう簡単なのか全く分からない。

驚きの声を上げる僕に先生は…


「彼女と一緒にいる可能性がある奴の呪力を追えばいい。スマホにまで影響するくらい強いならもう憶えたでしょ?」

「!?」


そうか。

Aちゃんの呪力が見つからないなら、側にいるだろう相手の呪力を捜せばいいんだ。


「先生! ありがとうございます!」

「うん、憂太なら大丈夫だよ。頑張って」

「はい!」


電話を切った直後、スマホから感じた呪力を追う。


「あのビル…」


呼び寄せられるように身体が引っ張られる感覚に素直に従って、1階から5階までカラオケ店の入ったビルの前に立った。


*

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設定タグ:呪術廻戦 , 乙骨憂太   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:ゆずあ | 作成日時:2022年3月6日 22時

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