18 尾行返し〈貴女&憂太side〉 ページ18
「さて、帰ろうか。家まで送るよ」
「……終わったの?」
「…あぁ、うん。今日の分はね…」
今日の分…ってどういう意味だろう…?
もしかして憂太は、この学校に蔓延る呪いを祓うために転校してきたのかな…?
と言うことは、呪いが消えたら憂太もいなくなる…?
「ねぇ憂太。ずっとここに居るよね…?」
「え…」
突然寂しさに襲われて、ついそんな事を聞いていた。
ずっと一緒にいるなんて、恋人になったり、結婚したりしないと無理な話だ。
高校生の私達に、そんな未来の約束なんて簡単に出来ない。
分かってる。
「ごめん…なんでもない。帰ろう!」
「Aちゃん…?」
変なこと口走っちゃったな…
恥ずかしさを隠すために、憂太に背中を向けて歩き出す。
校門まで来たところで私のスマホが鳴った。
カバンから取り出して通知を確認すると、先日キスまで許した大学生の彼だった。
《今からカラオケでもどう? もちろん奢るよ》
《場所は駅前のいつものところ》
連続で着信したメッセージ。
これ以上、憂太と一緒に居るのも恥ずかしいから好都合とばかりに「分かった、今から行く」と返した。
「ごめん、憂太。ちょっと用事が出来たから、ここでバイバイ!」
「え、どこに行くの!?」
「駅前! じゃあまた来週ね」
「う、うん、バイバイ…」
手を振る憂太を置き去りに、私は逃げるように駅前までの道を急いだ。
【憂太side】
「…唐突だなぁ…。けど、今度は僕が尾行する番だね」
振っていた手を下ろして、刀袋のベルトを握った。
『ゆうたぁ、なんかへんだよぉ』
「リカも分かった? 呪いの気配が急に大きくなったよね」
Aちゃんのスマホが鳴った瞬間、ブワッと重く生暖かい空気の塊が押し寄せた。
おそらく、連絡をしてきた相手の呪力だろう。
「もしかして呪詛師だったりして…それだとちょっと厄介かもね」
『だいじょうぶぅ?』
「対峙してみないと分からないけど…多分、大丈夫。リカは隠れててね。出てきちゃダメだよ」
『はぁい』
Aちゃんの呪力を追って駅前へと歩を進める。
彼女の周りの人間の呪力も感知できるようになってきた。
確かにそれぞれ違う。
なるほど…五条先生はこうやって僕を選別してたのか。
逆に呪力を抑えれば、気配を消す事も可能…?
でも、かなり集中力が必要だよこれ。
さすが五条先生。
六眼で呪力消費が限りなくゼロに近いことで、反転術式を常時発動できるから成せる技だ。
「いや、慣れれば僕でもいけるかな」
何でも鍛練が必要…ってことだね。
*
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作者名:ゆずあ | 作成日時:2022年3月6日 22時