9 夢心地 ページ9
空気が耳を塞いでいるような
口づけの合間にスルスルと、宿儺さまの肩から流れ落ちていく羽織。
熱い唇が皮膚の薄い首筋をなぞり、小さな吐息が漏れる。
「あの…宿儺さま」
「なんだ」
私の胸元に口づけていた宿儺さまに呼びかけると、不満気な声色を返され、多少怯んだ。
けれど、人の目が無いにしても、さすがに
「その…もう…お
「……。」
無言で私を見下ろす瞳が、肉食の獣のごとく荒ぶり鋭く光った。
身を起こした宿儺さまは、
「ひゃっ」
素早く私を抱き上げ、
突然、視線が高くなり、怖くて宿儺さまの首にしがみついた。
「おとなしくしていろ」
低く一言、それでも声色には優しさが滲んでいて、自然と身体が火照っていく。
(やだ…私…はしたないことを…)
瞬間的に頬に熱が集まる。
脳裏に浮かぶのは、宿儺さまに酔わされ乱れていく様。
(でも…早く、触れて欲しい…)
宿儺さまの首筋に顔を埋め、高まる気持ちを散らす。
心なしか、私を抱く宿儺さまの腕に力が込められた気がした。
誰にも見つからないように私の姿を
「そのような目で煽るな。加減できなくなる」
少し辛そうに眉根を寄せた宿儺さまが、声を詰まらせ告げてくる。
何も、我慢しないで欲しい。
宿儺さまのすべてを感じたい。
「…加減など…しないで、くださいませ…」
「…っ」
私の言葉が誘因となったのか、それからの宿儺さまは、いつもよりも激しく貪るように私の身体に触れ、潤いの奥深くまで潜り込んだ。
そして立て続けに何度も、昇りつめるほど淫らに愛されたあと。
あまりにも夢心地な時間を過ごした私の頭は、ふわふわとして次第に意識が薄らいでいく。
朦朧としながら呼吸を整えるのに夢中だった私に、
「─は、──を、…──た──いな……」
宿儺さまが低く呟いた。
口の中で転がした小さな声だったから、すべてを聞き取ることは出来なかったけれど。
宿儺さまが私を抱き寄せ頭を撫でてくれたところで、気絶するように、幸せに満ちた夢の中へと沈んでいった。
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ゆずあ(プロフ) - ねかあさん» ご愛読ありがとうございます！このようなマイナーな作品を気に入っていただけたようで嬉しいです(*>∀<*)♪このお話の恋の行方は悲しいものと決まっていますが、最後まで見届けていただけると幸いです。 (11月2日 7時) (
レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
ねかあ(プロフ) - うわわわわああああ！！すききききききいいいい！ありがとうございます。こんなに良い作品を (10月31日 22時) (レス) @page15 id: 705b80bf73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆずあ | 作成日時：2023年3月18日 11時
