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20 想いに耽る ページ20

『五日後だ』

兄の言うそれは“宿儺さまを討つ日”ではなく、来る決行の日のために宿儺さまの屋敷図を作る目的の侵入で、私を(かどわ)かそうとしたのは雇った賊の独断、お兄様の指示ではない。

私が拐かされかけた事と、金品の類も大半を盗まれていた事で、宿儺さまは盗賊の襲撃だと信じていた。

とても心苦しいけれど、でも…

真実を言ってしまえば、この幸せな毎日に終わりが来ると…

それが怖くて恐ろしくて、私はどうしても事実を告げられなかった。

そうして心ここにあらずで、ひたすら憂鬱な物思いに耽る日々を過ごしていたある日。


「奥方様。お庭に花壇を作りませんか?」


このところ塞ぎがちだった私を元気付けようと、弥生があれこれと世話を焼いてくれていた。

この誘いもそのひとつ。


「まず弥生が庭師に手解きしていただきますから」

「花壇なんて…私にも出来るかしら…?」


お花を土に植えるなんて初めて…

新しいことに興味津々の私の心は、幼子のようにとても弾んでいた。


「綺麗な花壇を作って宿儺様をあっと驚かせましょう」

「…ええ…そう、ね。どのようなお顔を見せてくださるのか楽しみだわ」


宿儺さまに褒めていただけるかしら…?















「すっかり遅くなったな…」


三日の日程の祓除任務が少し長引き、陽が落ちゆく中、牛車(ぎっしゃ)に揺られ帰路に着いていた。

早くAに逢いたい。

あれの華やぐ笑顔を見れば、長期の任務疲れなど瞬時に跡形もなく吹き飛ぶというものだ。

そしてこの腕の中に閉じ込めて、逃がすことなく空が白むまで甘やかしたい…

……。

…いや待て…

これでは、俺がAに甘えているだけではないか……


「…クッ…ククッ……この俺が…これほどまで女一人にのめり込むとは……鬼神の名が泣くな」


まぁ…俗名(ぞくみょう)などどうでも良い。

とにかく、今は一刻も早く屋敷に…Aの傍に戻りたいのだ。


「もう少し急げるか?」

「へぇ! 日没前に着けるよう急ぎますので」

「あぁ、頼む」


牛車の引き手を二人にして良かった。

その上この牛車は俺用に特別に作らせたもので、通常四人乗りのところ、速さを優先し二人乗りの小型の牛車。

引き手の言うとおり、俺の予想よりも速く走り始め、安堵して腕を組み目をつぶった。

まぶたの裏の暗がりで、Aの微笑みが暖かな光とともに輝いている。

嗚呼…待ち遠しいな…

お前の芳しい色香に包まれて、桜色に彩られた唇を堪能し…

滑らかな白肌に唇を這わせ、その後は…


柔らかい膨らみの先端…

いつまでも吸い付いて口内で転がしていたい



まるで小さな果実のような…──


*

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設定タグ:呪術廻戦 , 両面宿儺 , 宿儺   
作品ジャンル:ファンタジー
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ゆずあ(プロフ) - ねかあさん» ご愛読ありがとうございます!このようなマイナーな作品を気に入っていただけたようで嬉しいです(*>∀<*)♪このお話の恋の行方は悲しいものと決まっていますが、最後まで見届けていただけると幸いです。 (11月2日 7時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
ねかあ(プロフ) - うわわわわああああ!!すききききききいいいい!ありがとうございます。こんなに良い作品を (10月31日 22時) (レス) @page15 id: 705b80bf73 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆずあ | 作成日時:2023年3月18日 11時

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