93 違和感〈虎杖&宿儺side〉 ページ44
「んん？」
「どうした？」
任務に向かう車の中。後部座席。
腕を組み首を傾げる俺の疑問符声に、隣に座る伏黒が即座に反応する。
未だに俺を警護対象としている伏黒は、俺の一挙一動に敏感だ。
「いや…なんか…胸の辺りに違和感が…」
「違和感…？」
なんだ…？
いつも通り温かな想いはあるのに、酷く切ない。
心臓が捻れて…引きちぎれそうだ…ッ！！
「すっげぇ、胸が苦しい…」
「は？ おい、大丈夫か！？ すぐ家入さんに──」
「──違うっ…伏黒、これは…ッ」
この感覚、俺は知ってる。
すっげえ好きだけど、諦めなきゃならない強い想いを抑え込んでる時の…
「…宿儺…お前…何があったんだよ…」
これは宿儺の感情が、俺にも伝染してんだ。
けど、何でこんな胸が締めつけられるような…
【宿儺side】
しっとりと吸い付く滑らかな白い肌に誘われて、無心で手の平を滑らせる。
柔らかな膨らみや、丸みのある腰から濡れて色づく温もりへと触れるだけで、Aは子猫のように愛らしい鳴き声を上げた。
ずっと触れていたいし、いつまでも聴いていたい。
何とも心地良い愛しい体温を抱きしめて眠った――…
「二度とお前を傷付けさせはしない…」
「宿儺？」
「だから、どこにも行くな。お前は俺のものだ」
「…私は…ずっと貴方と一緒にいるよ…？」
組み敷かれたまま俺を見上げ、ゆっくりと花開くように微笑んだAの華奢な手のひらに、両頬を包まれた。
そっと頬を撫でる細い指先が愛らしい…
……。
…いやそうではない…
何かが違う。
俺は確かにAが欲しかった。
千年前からずっと求め続けてきた、唯一無二の魂だ。
隣で微笑んでくれるなら、俺は何でもする。
だが俺の本懐は、Aの幸せだ。
あのとき…あの時代に成し遂げられなかった悲願。
俺自身の手で、Aを幸福に満たしたいと思っていたが…
Aがいつも幸せだと感じ、心からの笑顔を浮かべていられるのなら、たとえ隣に居るのが俺でなくとも…
故に、Aの生きる場所はここではない。
こんな仮初めの形ではない。
今あるこの穏やかな儚い日々が、本当の『Aの幸福に満ちた笑顔』には繋がらないのは明白だ。
…どうやら、
お前の隣に居るべきは俺ではないようだしな。
……。
ここ、までか…
「A。俺にはもう実体がない。“呪物”というモノだ」
「…うん…」
「ここは、その俺の生得領域。お前が居るべき場所ではない」
「え…？」
Aの縛りの条件は、『俺がAを必要とする限り』
俺がAを諦め手放せば、その条件も縛りも破棄されるはずだ。
*
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うさぎのおもち(プロフ) - ゆずあさん» ゆずあさんコメントへのお返事ありがとうございます。本当に素晴らしかったです。同じ思いで嬉しいです笑千年の恋の方も読ませて頂いています！是非最後まで読ませていただきます！( ߹꒳߹ ) (11月28日 22時) (
レス) id: 2be3f74d8b (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - うさぎのおもちさん» 熱いコメント＆感動＆号泣！こちらこそありがとうございます！(*T▽T*) 実は私も陰ながら宿儺との未来を応援していました笑 なので宿儺との物語は『千年の恋』で、思いつくまま気が済むまで書こうと決めています。見届けていただけると嬉しいです(*>∀<*)♪ (11月27日 23時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
うさぎのおもち(プロフ) - 宿儺と主人公を応援してたのでめちゃくちゃ読んでてしんどかった(泣)めちゃくちゃ号泣して頭痛いです笑また宿儺と出会って結ばれて欲しいです泣ほんとに素晴らしいお話読ませていただきました。次の作品も楽しみにしています。本当にありがとうございます (11月27日 22時) (レス) @page49 id: 4b465d9ef7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - みぃさん» 早速のコメントありがとうございます！頭の中でごちゃごちゃしている物語を整理しながら、ご期待に沿えるよう焦らず更新していきます！♪(/ω＼*) (2021年12月17日 6時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 続編おめでとうございます！！この先の展開がとても気になります！更新楽しみにしてますね♪(◍•ᴗ•◍) (2021年12月17日 2時) (レス) id: c397bf8382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆずあ | 作成日時：2021年12月16日 19時
