83 医務室〈虎杖side〉 ページ34
「Aさーん、絆創膏……って、そういやいねぇんだっけ…」
Aさんが体調不良で医務室に居ないことをすっかり忘れ、ついいつもの調子でドアを開けてしまい、独り言を零す。
頭をポリポリかきながら誰もいない医務室に入り、自分で応急処置をする為、棚から救急箱を取り出した。
振り返って、普段Aさんが傷の手当てをしてくれる処置スペースに視線を向けたとき。
心臓がズクン…と、重たい音を立てた。
「…は…？……A、さん…？」
俺のバカな頭じゃすぐには状況を理解できなくて、必死に思考を巡らす。
処置スペースのテーブルの横で、壁にもたれ掛かって座り込む白衣姿のAさんが居た。
俺の心臓が止まりかけた理由は、Aさんがその体勢のまま動かず、呼びかけても目を閉じて俯いていたからだ。
「Aさん！？」
数秒後、頬の傷口から流れる血をグイッと手の甲で拭い、飛び込むようにAさんに駆け寄って呼吸を確認した。
微かに“寝息”を立てている。
けど…
「何で１人でここに…？ 五条先生は…？」
Aさんは自室で療養中だと五条先生が言っていた。
その上、先生以外は面会謝絶。
だから会いたい気持ちを抑え、鍛練に打ち込んで…
「Aさん！ 起きて！」
何か分かんねぇけど起こさなきゃダメな気がして、大声で名前を呼びながら、Aさんの肩を掴んで揺らした。
「……ん……悟…さん……」
「なに？ 五条先生？ それなら今──」
スマホをポケットから取り出し、五条先生の連絡先を表示させて通話ボタンを押そうとした瞬間…
「…っ！？」
首に巻きつく華奢な両腕に、俺の一切の動きが停止した。
「…行か…な…で…」
弱々しく紡がれた言葉と声音に、Aさんが消えてしまう恐怖が襲う。
しかも、俺を五条先生と間違うほど意識が混濁しているなんて重症じゃねぇか。
首に抱きつくAさんの不安定な体勢を、腰に片腕を回して抱き寄せ、もう片方の手でスマホを操作する。
「悠仁！ A見てない！？」
呼び出し音が鳴る前に五条先生の焦った大声が刺さり、反射的に耳からスマホを離した。
これが何かしらの凶器なら、一撃で頭を貫通したはずだ。
「五条先生、Aさん医務室にいるよ」
簡潔に伝えると、何の返答もなくプツと回線が切れる音の後、プーップーップーップーッ…と、お馴染みの不通音が響く。
そして十数秒後、医務室のドアが壊れる勢いで開け放たれ…
「A！！」
アイマスクもサングラスもしていない五条先生が駆け込んで、俺の腕からAさんを奪い取った。
*
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うさぎのおもち(プロフ) - ゆずあさん» ゆずあさんコメントへのお返事ありがとうございます。本当に素晴らしかったです。同じ思いで嬉しいです笑千年の恋の方も読ませて頂いています！是非最後まで読ませていただきます！( ߹꒳߹ ) (11月28日 22時) (
レス) id: 2be3f74d8b (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - うさぎのおもちさん» 熱いコメント＆感動＆号泣！こちらこそありがとうございます！(*T▽T*) 実は私も陰ながら宿儺との未来を応援していました笑 なので宿儺との物語は『千年の恋』で、思いつくまま気が済むまで書こうと決めています。見届けていただけると嬉しいです(*>∀<*)♪ (11月27日 23時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
うさぎのおもち(プロフ) - 宿儺と主人公を応援してたのでめちゃくちゃ読んでてしんどかった(泣)めちゃくちゃ号泣して頭痛いです笑また宿儺と出会って結ばれて欲しいです泣ほんとに素晴らしいお話読ませていただきました。次の作品も楽しみにしています。本当にありがとうございます (11月27日 22時) (レス) @page49 id: 4b465d9ef7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - みぃさん» 早速のコメントありがとうございます！頭の中でごちゃごちゃしている物語を整理しながら、ご期待に沿えるよう焦らず更新していきます！♪(/ω＼*) (2021年12月17日 6時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 続編おめでとうございます！！この先の展開がとても気になります！更新楽しみにしてますね♪(◍•ᴗ•◍) (2021年12月17日 2時) (レス) id: c397bf8382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆずあ | 作成日時：2021年12月16日 19時
